育児や教育についてアドバイスとしていわれる「子どもの個性を伸ばそう」という言葉。けれども、「元気で明るい」「友だちに優しい」「好奇心旺盛」といった長所と呼べるものだけが、子どもの個性ではありません。親や周囲を困らせたり、心配になったりする個性もあるはずです。そんな子どもの「困った個性」と、親はどう向き合えばいいのでしょうか。明星大学教授の星山麻木さんに聞きました。

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「困った個性」を放っておくと、状況の悪化を招くことも

 「子どもの個性を伸ばそう」というメッセージが、さまざまな育児書や教育の場で語られています。けれども、「元気で明るい」「友だちに優しい」「好奇心旺盛」といった長所と呼べるものだけが、子どもの個性ではありません。「ところ構わず騒いでしまう」「集団行動ができない」「集中しすぎて、他のことがおろそかになる」など、親が対処に困ってしまったり、心配になったりする個性もあるはずです。

 そんな、子どもの「困った個性」と親はどう向き合えばいいのでしょうか。

 「『落ち着きがない』『集団行動ができない』など、周囲とぶつかる子どもの振る舞いを『個性だから』と放置してしまっては、親も子どもも苦しいままです」と星山さんは言います。

 個性は尊重すべきだからといって、子どもの振る舞いによって周囲の人が困ってしまっている状況を放置してしまうと、親子関係の悪化や、子ども自身の孤立を招きます。更に小学校入学後に規律を求める周囲の環境になじめず、不登校の原因になることも。だからといって、子どもの行動を無理に矯正しようとしても、子ども自身が苦しくなってしまいます。

 「そもそも、尊重するのと放っておくのとはまったく違います。子どもの行動や情緒によって周囲や子ども本人が困っている場合は、その行動や情緒をその子の『特性』として理解し、サポートすることが大事です」と星山さん。特性とは、脳機能の違いにより現れる行動面や情緒面での特徴のことです。発達障害を説明する際に使われる用語ですが、「特性とは、発達障害の診断がつく・つかないにかかわらず、本来誰しもが持っているもの」と星山さんは言います。

 わが子の特性をどう理解すればいいのか、サポートするためにはどんな方法があるのか、詳しく聞いていきます。

周囲を困らせる行動を「個性」として放置しては、親子ともに苦しいまま
周囲を困らせる行動を「個性」として放置しては、親子ともに苦しいまま
この記事で分かること
・自分は、わが子は何色? 特性を色に例えて理解する
・ところ構わず動き回る子、止めても無駄な理由とは?
・食べ物の好き嫌いは、わがままなのではなく感覚過敏が原因のことも