サ行やカ行といった特定の音がうまく発音できない子どもは一定数いるといわれています。就学を控えているのにまだうまく話せない場合、親は「このままで大丈夫なのだろうか?」と不安になるかもしれません。なぜ特定の発音ができないのか、どんなタイミングで誰に相談をすればよいのかといった疑問について、言語聴覚士で、ことばの相談室ことりを主宰する寺田奈々さんに話を聞きました。

【年齢別記事 保育園のママ・パパ向け】
(1) 「さしすせそ」が言えない子、練習開始はいつから? ←今回はココ
(2) 乳幼児期に言葉の先取り学習をしても意味がない理由
(3) マナーは教えないと身に付かない 幼児期に大切な5つ柱
(4) 「あと5分!」では急がない幼児 ピンとくる伝え方は?

練習開始時期は早すぎても遅すぎてもダメ

 「おかあたん(おかあさん)」「てんてい(せんせい)」などと、サ行の音がうまく発音できず、タ行の音になってしまうというのは、幼児期の「あるある」の一つかもしれません。そうした、たどたどしい話し方も2~3歳ごろまでは、親もかわいらしく感じていても、4~5歳を過ぎ、就学が見え始めてくると「いつまで話せないのだろう?」と不安を覚えるかもしれません。

 こうした発音の不安に関して「幼児期にサ行が言えない子や『ら』が『だ』の音になってしまうという子はめずらしくありません。特に不安に感じることはないですよ」と話すのは子どもの言葉の発達に詳しい、言語聴覚士の寺田奈々さんです。

 「発音の獲得には順序があり、子どもは簡単な音から発音を始めます。ですが、2歳、3歳と成長するにつれて、まだ発音ができない音が含まれた言葉もどんどん吸収して話すようになるため、『おたかな(おさかな)』などとなってしまいます。

 耳の聞こえや発達、歯並びや舌といった口腔(こうくう)内の状況などに問題がない場合、年齢を重ねるとともに自然と話せるようになる子がほとんどである一方で、ある一定の時期になっても発音ができない場合は、言語聴覚士による発音練習が必要になります」

 寺田さんによると、専門家の指導の下で練習をすれば発音できるようになるようですが、練習開始時期については早すぎても遅すぎてもよくないのだそう。次のページから、発達と発音の関係や、発音練習を開始すべき適切な時期などについて詳しく聞いていきます。