おもちゃを買い与えてもなかなか長く遊んでくれない。気に入らないのかなと思って別の物を渡しても、それも同じ結果に。乳幼児の育児でそんな場面に遭遇したことはないでしょうか。こうした子どもの「飽きっぽさ」を見ると、「このままでは集中力が身につかないのでは」などと不安に思う親もいるかもしれません。では、そんな様子のわが子に対して、どのような対応をすればよいのでしょうか。専門家に聞きました。

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生まれつき集中力のある子どもはほとんどいない

 おもちゃで遊んでいても、すぐに別のおもちゃに手を出そうとする。読み聞かせをしていても別の遊びをしたがる――。

 本当は1つの遊びに集中して取り組んでもらいたいのに、あれやこれやといろんな物事に気が向いてしまう。そんな乳幼児期の子どもの飽きっぽさが気になっている親もいるのではないでしょうか。中には「集中力が欠如したまま成長してしまうのではないか」などと不安を抱く人もいるかもしれません。

生まれつき「飽きっぽくない」子どもはほとんどいない
生まれつき「飽きっぽくない」子どもはほとんどいない

 ただ、生まれつき特定の物事に集中して取り組めるという子どもはほとんどいないようです。「就学前の子どもは、まだ、物事を持続的に行うための脳の仕組みが整っているわけではありません。また、次々に別のことに目移りすることは脳の発達上必要なプロセスだという側面もあります」。脳の専門医として1万人以上の脳画像を分析してきた医学博士の加藤俊徳さんはこのように話します。

 では、物事を持続的に行うための脳の仕組みというのはどういうもので、いつごろから整うのでしょうか。また、親は1つのことに集中できない乳幼児とどのように向き合っていけばよいのでしょうか。脳科学の観点から加藤さんに解説してもらいました。

この記事で分かること
・「すぐ飽きる」と「集中力が続く」。脳の状態はどう違う?

・脳は「脳番地」ごとに成長のピークが違う

・目移りは「脳の成長」の表れという側面も