伝統校や中学受験率の高い小学校を目指して、入学前にその学区へ転入する「公立小移民」。親の学歴と学区の相関関係や人気学区の物件の探し方、中学受験をしない世帯の小学校選びについて紹介した前回に引き続き、今回は中学受験をすることを前提にした小学校や住まいの選び方について、『マンションは学区で選びなさい』の著者で不動産事情に詳しい沖有人さんにお聞きします。「成長志向が高く、教育資金も確保できるデュアラーは、小学校入学前に子どもの進路を想定した学区の再考を」と公立小移民を沖さんは勧めますが、一方で向いていない世帯もあるそう。6年間の子どもの成長を想定した教育拠点探しのノウハウを、プロの視点から具体的に見ていきます。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
(1) 保育園児の乳離れ ベストタイミングはいつ?
(2) 保育園児の断乳・卒乳 成功スケジュール
(3) 公立小学校区で進路が決まるって知ってた?
(4) 中学受験を想定した賢い学区&住まい選びノウハウ ←今回はココ!

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

小学校6年間住むなら、購入したほうがコスト安

 前回の記事で「分譲で見つからない場合は、まず賃貸で転入するのも一つの手」と紹介をしました。ただ、コストの面を考えると、沖さんは購入を勧めます。

 「2、3年で引っ越すなら賃貸のほうが安く上がるかもしれませんが、一定期間以上住むなら分譲のほうがコストを抑えられます。小学校入学から卒業まで6年間住むとなると、諸経費を考えても賃貸より有利です」

 需要に対して供給が制限されることから、リセールバリューが落ちないのが人気学区エリアの特徴。では、より売りやすい物件とは、どんなものなのでしょうか。物件探しの3つのポイントを沖さんに聞きました。

【ポイント1】売る前提なら戸建よりマンション

 「戸建は制度的に売りにくいという問題があります。木造の場合は22年で償却すると定められているので、建物の評価額がゼロになり、土地代だけで評価されることになるのです」

 つまり、新築で買った人は22年以上経ってもまだまだ住めるのに、次に買う人がローンを組みづらいので売れない、もしくは安く売らざるを得ないというのが現状だと沖さんは説明します。

 「一方、マンションは47年償却なので20年住んでもまだ半分ほど価値が残る形に。そのため、次に買う人がローンを組みやすく、価格を落とさずに売却をすることができます」

 子どもが通う学校やその後の進路、ライフスタイルによっても、住みやすい立地は変わってきます。一生この場所に住むと決めている、またはこの家から通学可能な中高一貫校しか受験しないという世帯でなければ、売却しやすいマンションを選ぶのも賢明な選択かもしれません。

<次のページからの内容>
● 【ポイント2】安さ、広さより「ボリュームゾーン」を意識
● 【ポイント3】塾通いの経路も確認 繁華街は送り迎えの必要も
● 公立小移民 第一子以降の教育プランの現実性
● 東京23区0歳児の保育園に入りにくい駅15駅
● 物件探しは「3カ月前から動いて、入学半年前に決める」