プールに英会話、体操教室……。幼児期から数々の習い事をかけもちする現代の子どもたち。プロが手ほどきをしてくれる習い事は、本当に子どもたちを大きく育んでくれるのでしょうか? こうした幼少期からの習い事について「やり方によっては失うものやリスクもある」と話す保育施設代表の柴田愛子さんに話を聞きました。

【年齢別記事 保育園のママ・パパ向け】
(1) すぐ諦めるわが子 親の声かけや「考えのクセ」が影響?
(2) 泣きわめく子 自律性やメタ認知を育てる親の声かけは
(3) 戦いごっこが育む生きる軸 見守る際のポイントは?
(4) 幼少期の習い事にはリスクも 親が知っておくべきは ←今回はココ

習い事は親の安心料

 「わが子の可能性をできる限り切り開いてあげたい」と、幼少期から子どもを習い事に通わせる親は少なくありません。とはいえ習い事には高額な費用も必要ですし、共働き家庭にとっては送迎時間を捻出するのも大変です。貴重な土日が習い事で潰れてしまうということもあるでしょう。そんな中で「本当にこの習い事が必要なのかな?」といった思いが頭をよぎることもあるかもしれません。

 認可外保育施設、りんごの木子どもクラブ代表で40年以上にわたり子どもたちを見守ってきた柴田愛子さんは次のように話します。

 「わが子にあらゆるチャンスを与えたいと考える親心は分かります。多くの子どもを見てきましたが、幼児期の習い事で、一生やり続けたいことに出合うということはかなりまれです。

 小さいうちの方が外国語の発音がきれいに話せるようになるとか、体が柔らかいなどというのは本当です。でも、発音のきれいな外国語が話せることが、すなわち国際人ということでもなければ、体が柔らかければ運動選手になれるというものでもありません。

 焦らなくても子どもはしっかり育っていくので、本来親は子どもの育ちを信じて見守るだけで十分だと思っています。そういう意味で、私は幼少期の習い事は親の安心料だと思っています」

 お金に余裕があるのならば安心料と割り切って習うのもよいと話す一方で、習い事のやり方によっては失うものがあるなど、リスクがあることも知ってほしいと柴田さん。そのリスクとは一体どのようなものでしょう?

 次のページから、幼少期の子どもを習い事に通わせる際に注意すべきことや、習い事よりも大事にすべきことなどについて詳しく聞いていきます。