わが子と友達の会話を聞いていると、1人が「遊園地に行ったよ」と話すと、「私も行ったよ」「僕は10回」などと対抗心がどんどんエスカレート。さらには「じいじの家が遊園地!」などとさらりと大きな嘘を言うことも…。そんな経験はないでしょうか? 大人は「こんなに対抗心が強くて、嘘までつくわが子は大丈夫だろうか。このまま成長すると、周囲とトラブルになるのでは」と心配になるかもしれません。このようなとき親はどう接したらいいのでしょうか。大阪教育大学教育学部教授で、同大学附属天王寺小学校の校長を兼任する小崎恭弘さんに、友達と張り合う幼児期の子どもの心の内を聞きました。

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親の心配は、この先も嘘をつく子になること

 友達に対して競争心が強く、対抗しているうちに言っていることがどんどんエスカレートして嘘も出てくる。子どもが空想の中でお話を作っているのだろうと考えればほほ笑ましいものですが、場が険悪になったり、友達に「嘘つきだ!」と言われたりするのではと心配になることがあるかもしれません。つい頭に浮かんでしまうのが、「友達とすぐトラブルを起こすような子では困る」「このまま嘘をつき続ける子になるのではないか」といった負のストーリーです。

 それに対して小崎さんは、「子ども自身は嘘をつこうと思って、ついているわけではありません。親御さんは、幼児期の子どもは空想の世界で生きていると考えて、嘘とは区別していく必要があります」と注意を促します。

 でも、遊園地に行ったのは1回なのに、友達と張り合って「10回行った」と言うのは、事実と違います。エスカレートして「じいじの家が遊園地だから、乗り物にもすぐ乗れる」というのも嘘だし……。これらは大人の価値判断や社会の常識では、人をだまそうとしたり、自分を大きく見せたりするための虚言だと捉えられなくもありませんが、幼児期の子どもにとっては嘘ではなく空想なのだとしたら、その心の内や背景には何があるのでしょう。詳しく解説してもらいます。

【この記事で読める内容】
・友達と張り合ったり、嘘を言ったりするのは幼児期特有の行為

・その背景として、子どもは「●●●●●●●●」というメッセージを送っている

●●●●●●●●●ときは嘘を指摘してもいいが、気を付けたいのがその「言い方」

・空想と現実のギャップを受け止めるために必要なのは親に●●●もらっている実感

・その実感が持てないままだと、嘘でしか自分を誇れなくなってしまう恐れがある

・「もともと負けず嫌い」の子に伝えたいことは?