芸術の秋。運動会や遠足の様子を絵に描いたり、工作などのさまざまな制作物を作ったりする機会が増えているかもしれません。子どもはお絵描きや工作などの遊びをしながら、未来を生き抜くのに役立つ創造力や発想力を培うといわれます。親はその力をどう伸ばしてあげればいいでしょう。前回に続き、「芸術による教育の会」取締役ジェネラルマネジャー屋嘉部正人さんに保育園児の工作にまつわる親の悩みについて聞きました。

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ビジネスでも注目されている「アート思考」を養う

 子どもたちは、4歳頃から本格的に工作を始めます。幼い頃に工作を楽しむことは、子どもの発達にどんな影響があるのでしょうか。

 「手を動かしながらイメージを膨らませ、形にしていくことで、没頭してやり抜く力や、うまくいかない部分を工夫して解決する力がつきます。それは、生きるために大切な非認知能力の向上にもつながります。勉強とは異なる能力が鍛えられると考えられているのです」と屋嘉部さん。

 近年はビジネスの世界でも、「デザイン思考」や「アート思考」という言葉が注目されています。知識やデータの活用だけでは解決できない、答えが見えないビジネス課題にどう取り組み、最適解を見つけ出すかが求められています。

 「そのような思考は、勉強だけで身に付くとは限りません。子どもの頃に直感的に手を動かしながら、自分で考えてトライ&エラーを繰り返した経験が大切なんです

 「例えば、紙コップを逆さまにするだけでも他の何かに見立てることができますし、紙皿を重ねればいろいろなものを作ることができます。そこに割り箸を加えれば、可能性は無限に広がりますね。

 今あるものに他の何かを組み合わせることで、新たな価値が生まれる。これはビジネスの世界にもつながる発想です。工作のいいところは、手元にある材料で、創造の楽しみを自由に何度でも味わえることです。失敗しても痛い目にあわないし、何百回だってやり直せる。幼児期に、遊びの中で試行錯誤する癖をつけることで、発想力や、挑戦する力を育むことができるのです」と、屋嘉部さんは話します。

 しかし、日々忙しかったり、親自身が工作が苦手だったりして、「正直、子どもの工作に付き合うのが苦痛……」という人もいるのではないでしょうか。また、作った工作の置き場に困るというお悩みもあるでしょう。子どもの工作を、親はどうサポートしてあげたらいいのでしょうか。次のページから屋嘉部さんに詳しく聞きました。