乳幼児は大人以上に周りをよく観察し、親を模倣することを通じて、多くのことを学んでいます。だからこそ子どもと接するときには、大人が気を付けなくてはいけないことがあります。子どもの認知発達支援などを行っているチャイルド・ラボ所長で、日本こども成育協会理事の沢井佳子さんに聞きました。

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(4) 乳幼児は模倣の達人 まねされてしまう親の注意点 ←今回はココ

子どもの発達には順序がある その原点は「模倣」

 わが子を「頭のいい子」に育てたい、いろいろなことを見聞きしてほしいと、未就学時期からたくさんの体験をさせている親は少なくないと思います。週末には遠出をして、美術館や博物館などへ連れて行ったり、どんな習い事をさせようかと悩んだりしている家庭もあるのではないでしょうか。 

 子どもの認知発達支援を専門とし、テレビの幼児向け教育番組の監修を手がけているチャイルド・ラボ所長の沢井佳子さんも、「就学後にぐんぐん上に伸びて行ってほしいのなら、乳幼児期には横に幅広い体験ができるような環境をつくり、富士山の裾野のような広い土台をつくることがとても重要」と話します。

 「子どもは、生まれつき備わった発達プログラムに従って学び、発達していきます。学びの原点にあるのは『模倣』で、子どもは生まれたときから、身近な人を観察し、模倣する能力を備えています。その証拠に、生後30分の赤ちゃんに顔を近づけ、『べぇ』と舌を出す動きを繰り返し見せると、赤ちゃんはその場で口をもごもごさせて舌を出します。生まれてすぐなのに、人の舌出しを、観察して模倣するのです。

 その後は『愛着関係のある大人』、つまり『大好きな親』との関係性を築きながら、その人が嫌がっているものは自分も避け、その人が好むものには自分も近寄っていく、といった行動を繰り返します。生まれつきの模倣能力を基に、親の行動をまねることで、サバイバルのための行動を学び取り、安全に成長・発達することができる、というわけです」

 子どもの成長と心理的な発達を考える上で重要なのは、「子どもの模倣の対象である親自身が、どんな見本を示せるか」ということ。とりわけ、子どもの学力は、「家庭での大人の話し方」の影響を大きく受けると沢井さんは言います。

 次のページから、家庭で心がけたい「大人の話し方」に加え、子どもの健やかな成長や発達を妨げる「悪い見本」とならないために、親が知っておきたい以下の注意点について、沢井さんに解説してもらいます。

【子どもの模倣対象である親が知っておきたい・気をつけたいこと】

・子どもの学力を伸ばすのは「大人の話し方」
→短い会話でも、〇〇ではなく〇で話す

・まねされたくないなら「そもそも思わない」

・子どもにまねされたくない行動は、親自身も控えて「見せない」