職場復帰後、仕事に育児にと慌ただしい毎日の中で、親子ともに体調がいい、ベストな断乳・卒乳のタイミングをつくるのはなかなか難しいもの。無理のない断乳・卒乳の目安を紹介した前回に引き続き、今回は、実際にどのように断乳・卒乳を行えばいいのか、「たくさん飲んで大きくなったね!」と無理なく、笑顔で“おっぱい卒業”を迎えるためのノウハウを、何万人もの母乳ケアをしてきたベテラン助産師、オケタニ母乳育児相談室の鍋倉栄利子さんに聞きました。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
(1) 保育園児の乳離れ ベストタイミングはいつ?
(2) 保育園児の断乳・卒乳 成功スケジュール ←今回はココ!
(3) 公立小学校区で進路が決まるって知ってた?
(4) 中学受験を想定した賢い学区&住まい選びノウハウ

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

働く親の断乳・卒乳 注意点と事前の準備

 いざ断乳をしようと決めても、子どもは保育園、お母さんは働きながらとなると、母子ともに体調を整えるのはなかなか簡単にはいきません。だからこそ、断乳・卒乳までの流れを、あらかじめ想定しておきたいもの。計画的に行うことで親子間の納得感が増し、体に無理なくスムーズに行うことができます。断乳・卒乳の当事者はあくまでも母子ですが、その他の家事や心身のサポート面で、家族の協力が得やすい日程を選ぶといいでしょう。

 「まとまった休みがとれる夏休みや正月は狙い目と考える人は多いのですが、真冬、真夏、梅雨時、季節の変わり目は体調を崩しやすいとき。できれば避けてください」とオケタニ母乳育児相談室の鍋倉さんはアドバイスします。

 「家族と相談して日程を決めたら、まずはお母さんの準備から。断乳・卒乳前の乳腺トラブルは避けたいもの。断乳・卒乳予定日の10日くらい前から、高カロリー・高脂肪の食事は控えて、おっぱいのコンディションを整えましょう。授乳は、今までと同じ頻度でOK。最後の最後までお子さんにおいしい母乳をあげるために、これまで以上にバランスのいい食事を心掛けたいですね」

 同時に子どもには「おっぱいをやめようね」と伝えていきます。例えば、カレンダーに断乳・卒乳の日を書き込み、「この日でおっぱいは終わりだよ」と日常会話の一つに加えていってもいいでしょう。

 前向きな言葉で、繰り返し伝えていくことがポイント。「断乳・卒乳について話して聞かせる中で、イヤイヤをしたり、知らん顔をする場合、何がイヤなのか、まだおっぱいを飲んでいたいのか、お子さんの意見を聞いてあげてください」

 桶谷式の場合、断乳・卒乳当日の朝はおっぱいを十分に飲ませてあげてから「これでおっぱいとバイバイしようね」と話し、その後に子どもの見ていないところで両方のおっぱいに絵を描きます。

 「おっぱいは子どもにとっていとおしく大好きなもの。怖がらせることが目的ではないので、断乳・卒乳のときに描く絵は、お子さんが好きなキャラクターなどのかわいい顔にしてあげましょう」

 鍋倉さんは、メーク用のアイペンシルやフェイスペイント絵の具などを使い、乳首や乳輪は塗りつぶし、1つの乳房に1つのキャラクターを描く方法を勧めます。

 「お子さんに見せると、泣き出す子、笑う子、ビックリする子など様々です。しかし、事前に親子で話し合う中で子どもは『おっぱいは今日から違うものに変わった』ときちんと理解し、不思議とおっぱいを飲もうとはしないんですよ。でも、その後もその日は思い出したように何度もおっぱいを見に来る子もいるので、そのたびに納得するまで見せてあげてくださいね」

<次のページからの内容>
● パパとの連携 いつも以上の家事・育児参加を
● 断乳・卒乳後の子どもに意識したい行動
● 働きながらの断乳・卒乳スケジュールと母乳外来利用のポイント
● スムーズにいかなかったときの対処法