小学校入学前の子どもはもちろん、小学校に入ってからも、「何を、どこまで習わせればいいのか」という「習い事」にまつわる悩みはどのご家庭でも尽きないのではないでしょうか。特にグローバル化が進む昨今、子どもたちが社会に出るころには、上司に外国人がいるのは当たり前という世の中になっているとも言われています。

 もちろん、学校教育でもこうした流れをくみ、2020年には英語が教科化、プログラミング学習が必修化。これに伴い習い事も変化してきています。ところが、米国を拠点に20年以上教育に携わり、4000人超のグローバル人材を輩出してきた船津徹さんは、英語教室やプログラミング教室などのある意味「実践的」な習い事よりも、今の日本の子どもたちがやっておくべき習い事があると言います。

 一体、どんな習い事をしておくとよいのでしょうか。その習い事により、どんな能力を身に付ければよいのでしょうか。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
(1) 習い事調査2017 何をどこまで習ってる?
(2) 子どもの習い事で失敗、後悔! やらせたかったのは
(3) 最新習い事情報 サイエンス・キャリアが躍進
(4) 読み書き計算の先取りは「自信」を育てるために必要
(5) “世界標準の子育て”に必要な習い事は英語じゃない ←今回はココ!

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

継続は力なり! あきらめ癖を付けない方法、自信をつける方法

 前回、習い事を「根拠のある自信」につなげるためには、ひそかに家庭で練習や予習・復習を重ねる、“コソ練(コソコソ練習すること)”が必要だとお伝えしました。

 「世界標準の子育て」をブログや著書を通じて発信している船津徹さんは「どんな習い事でも勉強でも、間違いなく親のアシストが効いてくるものです。厳しい言い方になりますが、できる子はできないふりをして陰でものすごく努力をしているのが常です」と言います。

 例えばメジャーリーグ(MLB)で活躍するイチロー選手は小学生のころ、地元のスポーツ少年団は週に1回しか練習がないからと、お父さんと毎日練習を重ねていったというエピソードが有名です。一方で、どの習い事でも家庭で親がアシストできるというわけではありません。自己流では、変なクセが付いてしまう可能性もあるからです。

 「親御さんの懐具合もかかわりますが、サッカーやバスケットボール、テニスなどのスポーツはもちろん、バイオリンやピアノなどの音楽などどんな習い事でも、本当にその分野でそれなりに成果を出させてあげよう、自信をつけさせてあげようと思ったら、お金がかかると思います。周りと同じように週に2回、グループレッスンを受けていても、良くてもみんなと同じレベルにしかなりません。飛び抜けている子たちは、ずば抜けた才能を持つごく限られた人たち以外は、親がお金をかけてプライベートレッスンを受けさせたり、著名なキャンプやワークショップに連れて行ったりしているものなのです。『練習(勉強)なんてしていないよ』と言いながら、個別レッスンを受け、人より常に抜きんでたポジションに就ける。これは世界共通の方法です」

 みんな一緒がいい、出し抜くなんて品位がない……というのは表面上の話。トップに就かなければ、子どもの自信にはつながりにくいのだと船津さんは言います。

 「結果的に友達を出し抜くことになっても、それで子どもが悪い性格になったりはしません。逆に、遅れを取っている子を励ましたり、助けてあげたりするゆとりも生まれます」

 “コソ練”をするなんて性格が悪くなるのでは、と思うのは大人の考えること。日本ならではの“同調圧力”や“他人に迷惑を掛けてはいけない”という考えに基づいた子育ては、子どもの自信を奪うばかりだと指摘する船津さん。「自分は人よりできない……などというコンプレックスのほうが、よほど性格をゆがめてしまいます」

 では、世界標準の子どもに育てるためには、いまからどんな習い事をさせればいいのでしょうか。次ページで詳しく見ていきます。

<次のページからの内容>
● なにはなくともスポーツ! ただし個人競技はNG
● スポーツで“技能を磨く”より重要なこととは
● コミュニケーションスキルをアップするもう一つの習い事
● 親のアシストで子どもの“根拠のある自信”は大きくなる
● 親同士のコミュニケーションは子どもの人間力につながる