保育園も幼児クラスになってくると、そろそろ文字を教えたり、簡単な計算ができたりしたほうがよいのかと親は焦ります。就学前の親子は文字や数とどのように付き合えばよいのでしょうか。長年にわたって幼児教育を研究し、幼稚園園長の経験もある東京家政大学子ども学部教授の岩立京子さんに話を聞きました。子どもの探究心を大切にしながら文字や数、図形について総合的に教えている保育園での取り組みについてお伝えした前回に続き、今回は家庭ではどのように教えたらよいかを聞いていきます。

【年齢別記事 保育園のママ・パパ向け】
(1) きょうだいゲンカ 親の前だからこそ起きる理由とは
(2) つい比べてない? 親の発言はきょうだい仲に影響する
(3) 探究心の根っこが育つ、幼児期の文字、数の教え方
(4) 入学前の文字&数の先取り学習 親のNG行為は ←今回はココ

 前回の記事(『探究心の根っこが育つ、幼児期の文字、数の教え方』)では保育園での取り組みについて聞きました。保育園では数も文字も、学校の授業のようには教えず、「レストランごっこ」のような遊びの中で総合的に触れさせています。

 全員一律に教えることもしません。岩立さんは、子どもが自分で知りたい、おもしろいと思うことが大切だと話します。文字や数の環境に囲まれた保育園での生活から、子どもはその大切さや必要性を感じます。保育士は、子どもが自らの欲求で文字や数字を覚えていくように援助します。文字や数、図形に対して、「不思議だな・どうしてだろう・すごいな」と思う気持ちが探究心になります。

 幼児時代に優先すべきなのが、この探究心の根っこを心に張ること。その根っこが小学校に入ってから「後伸び」する力につながっていきます。一方、危険なのが、なぜ学ぶかを抜きに単純なスキル技術を教えることだとも岩立さんは言います。「この姿勢は家庭で取り組むときにも共通です」

 幼児期は個人差が大きく、保育園で文字や数、図形に興味を示さない子もいます。岩立さんは「全く問題がない」と言いますが、一方で「家でドリルをやってはいけないというわけではありません。親が気になるなら、ドリルや文字積み木などを取り入れてみるとよいと思います」とも。ただし、ドリルを取り入れる際には注意点もあり、やり方を間違えると、後に伸びる力を潰してしまうこともある のだそうです。どのようなことに注意したらよいのでしょうか。

 岩立さんは「文字や数、図形に取り組むと同時に、就学前に身に付けさせたいことがあります」とも話します。それは自尊心につながる生活力と「失敗してもいい」と思えるマインドだそう。どのように育てていけばよいのでしょうか。次ページから詳しく聞いていきましょう。

未就学児がドリルに取り組むときの親のNG行為

○○○○○と比べる
○○○を課す
○○○○ときに責める
・形だけの○○○○○○や、○○○ を教え込むこと
○○○○○ことを責めて、子どもの○○ を高める

 次ページでNG行為の内容と例を紹介します。