大人も子どもも花粉症やアトピー性皮膚炎に悩む時代。アレルギーはもはや日本の“国民病”とも言えるでしょう。中でも、子どもを持つ親にとって悩みが深いのが「食物アレルギー」です。「離乳食をあげていたら、じんましんが出た。食物アレルギーかもしれない」。そんなとき、どうしたらいいのでしょうか? 食物アレルギーとは何か、受診のコツなどを昭和大学医学部小児科学講座准教授の今井孝成先生に教えてもらいました。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
(1) 食べさせたらじんましんが出た 食物アレルギーかも ←今回はココ
(2) せきが長引く もしかしてぜんそく?ぜんそく気味?
(3) 誤飲、窒息、溺水…家の中での思わぬ事故を防ぐには
(4) こんなに昔と変わった!?ケガとやけどの対処方法

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

乳児の約5~10%、幼児の5%が食物アレルギーを発症

 食物アレルギーを起こすのは赤ちゃんである場合が多く、一般的に乳児の約5~10%、幼児の5%、学童期以降の1.5~3%が該当します。赤ちゃんのときに食物アレルギーを発症した子も、3歳で5割、6歳で9割が卵・牛乳・小麦を食することができるようになります。

 ですから基本的には原因物質を除去して、自然に治るのを待つというのがこれまでの主な治療法でした。

 食物アレルギーが成長につれて治っていくのは、消化吸収機能が高まっていくからだと説明されています。しかし、大人になってから食物アレルギーを発症する人もいるので、消化吸収機能の成長だけでは理由にはなりません。アレルギーにはまだ解明されていない部分もたくさんあるのです。

 食物アレルギーの原因となる三大アレルゲンは、卵・牛乳・小麦です。

 これを知って離乳食を過剰に怖がり、この三大アレルゲンを与える時期を遅らせようとする親御さんもいますが、乳児の90~95%は食物アレルギーではないのですから、「きちんと加熱する」「初めての食品は少量から与える」といった離乳食の基本を守れば、必要以上に怖がる必要はありません

 食物アレルギーの多くは、食べてから30分以内にじんましんなどの反応が出ます。じんましんが急激に広範囲に出たらすぐに病院を受診しましょう。範囲が狭く、かゆみも弱いなら、もう一度繰り返したときでもよいかもしれません。しかし、両親やきょうだいに非常に強い食物アレルギーがある場合は別です。離乳食を開始する前に、食物アレルギーに詳しい医師に相談しましょう。

 「離乳食をあげていたら、じんましんが出た。次にあげたときもまた出たので食物アレルギーかもしれない」

 自分のお子さんにこんなことが起こったらどうしますか? 病院にかかったときに病院から求められるのは、次の情報です。

写真はイメージです
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<次のページからの内容>
● 受診時に病院から求められる情報は?
● まずどんな検査をするの?
● 食物経口負荷試験で分かること
● 「少し食べてみる」のは危険?
● 受診するときに気を付けたいこと