子どもには自己肯定感を高く持ち、前向きに何でもチャレンジできるようになってほしい。そのために、日々の言葉がけを意識している親は多いのではないでしょうか。けれどもそんな言葉がけが、実は子どもの特性を抑え込んでいるとしたら…。面談を通して20年以上親子の問題に向き合い続けてきた、医師・臨床心理士の田中茂樹さんに聞きました。

【年齢別記事 保育園のママ・パパ向け】
(1) 励ますつもりが逆効果にも 子への言葉がけに潜むリスク ←今回はココ
(2) 失敗を恐れる子 「親に甘える力」が弱いことも
(3) 勝ち負けの感覚身に付く3~5歳は親の声かけに注意
(4) 物に当たる、怒鳴り合う…親の行動が子に及ぼす影響

子どもを「導く」言葉がけは注意が必要

 わが子には自己肯定感を高く持ち、のびのびと育ってほしい。そのためにも、子どもを認め、勇気づけるような言葉がけを増やそうと意識している人も多いと思います。一方、共働きで時間がないなか、「急いで!」とせかしたり、「だから言ったじゃない……」とつい愚痴めいた言葉がこぼれてしまったり。褒めたり小言を言ったり、口数はついつい増えてしまいがちです。

 「そもそも、本来言葉が不要な場面においても、親が子どもに声をかけているケースが多い」と田中さんは言います。

 「例えば、『それでいいよ』『好きなものを選んでいいよ』など、子どもに許可を出す言葉は、本来は必要ない言葉です。親は黙ってニコニコしていれば、子どもは自らの意思で好きなものを選び、したいことをします。その繰り返しが、子どもは自分なりの特性を伸ばしていくことにつながります。

 もちろん、いつでもどこでも好き放題やっていいわけではありませんし、公共の場など、ルールを守らなくてはいけないシーンもあります。ただ、現代の親は、子どもに不寛容な社会の目を気にするあまり、子どもに対して過干渉になりがちで、それが家の中に持ち込まれ、日常になってしまっていると感じています」

 特に、「子どもを『より良く導こう』とする言葉がけには注意が必要です」と田中さんは言います。その理由や、子どもとの関わり方のコツを教えてもらいました。

子どもを「導こう」とする言葉がけにはリスクも
子どもを「導こう」とする言葉がけにはリスクも
■この記事で分かること
●言いがちな言葉の裏にある親の固定観念とは?
●「根拠のない自信」育めれば無敵に。そのための言葉がけは
●子育てに結果主義を持ち込んでしまっていることが、つらさを感じる理由の一つ