「未来を生きるわが子には、できれば小さいうちから理科や科学の面白さに触れてほしい」。そう感じていても、時間がなかったり、苦手意識があったりして、どうしたらいいか分からないという人は少なくないでしょう。前回に続き、年270回も児童館や図書館などで出前講座などをしている坂口美佳子さんに、簡単なのに面白い、人気の「科学に触れる」遊びを年齢別に教えてもらいます。

(日経DUAL特選シリーズ/2019年8月28日収録記事を再掲載します)

昔よりも失敗や間違いを怖がる子が多い

 「最近は、昔よりも失敗や間違いを怖がる子が多い印象があります」

 「体験と本を両輪とし、子どもたちに科学の楽しさを伝えたい」と、子ども向けの「科学あそび」と本の紹介をライフワークとして31年間活動を続けている坂口美佳子さん(科学読物研究会運営委員長)は、そう言います。「科学あそびの講座では、最初に結果を子どもたちに予想してもらいます。でも、間違えたくないからなかなか予想しない子は結構いますね

 今や、幼い頃からタブレット端末やスマホの画面に囲まれるデジタル時代になっています。「講座にせっかく参加しても、スマホで答えを検索して子どもに見せてしまう親御さんがたまにいます。早く正確に答えを出すことが科学あそびの目的ではないので、ちょっと残念だなと感じます」

 「デジタル時代になっても、自分で手を動かす体験と、本の価値は変わっていません。科学の本はお子さんのペースで情報を知識としてそしゃくできるのがいいところです」と坂口さん。また、「何とか理科を好きになってほしい、あわよくば学校の成績をアップさせたい、などの親御さんの期待が満載過ぎると、自我が芽生えた後の子どもだと『自分はしたくないけど……』ともなりがち。最終的には楽しんで帰ることがほとんどですけれどもね」

 「こうした子ども向け講座の魅力は、複数の子どもが参加しているところ。他の子どもたちのさまざまな意見に触れることで自分の意見も他人の意見も大切だということを理解し、多様性を感じられます。身近で開かれている機会があれば、ぜひ参加してみるといいと思います」

 一方、家で遊ぶ場合は、どんなメリットがあるでしょうか。