休日に家で子どもと遊ぶ時間ができた、でも、何をしていいか分からない――そんなときこそ、科学の楽しさに触れられる遊びはいかがでしょう。年270回も児童館や図書館などで出前講座をしている坂口美佳子さんに2回に分けて話を聞きます。まず今回は、遊びに足すと、さらに楽しくなり、理解が深まる欠かせないアイテムについて教えてもらいました。「理科は苦手だった」というママ・パパにこそおすすめです。

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風が強いね、などと共感することは科学の第一歩

 自分の子どもにはいろいろなことに興味を持ってほしい、子どもの可能性を伸ばす手助けをしたい。親なら誰しもそう思うかもしれません。とはいえ、「理科」や「科学」と聞くと尻込みしてしまう人も少なくないでしょう。

 「科学に苦手意識のある親御さんでも、子どもと接しながら、科学の第一歩は踏み出していると思います」。そう話すのは、年間270回も「科学あそび」の出前講座を、児童館や図書館などで行っている坂口美佳子さん(科学読物研究会運営委員長)です。「例えば何かを触ったときに『ざらざらしているね』、強い風の日には『風が強いね』、夕焼けを見て『真っ赤だね』のような声かけを子育てのなかで皆さん無意識にしていると思います。そんな風に共感することは実は科学の第一歩です」

 坂口さんは今や科学あそびの伝道師のような存在ですが、もともと、理科の先生だったわけでもなく、文系の「普通のお母さん」でした。長男が3歳8カ月、次男が10カ月まで公務員だった坂口さんは、雨の日も雪の日も自転車で子どもを送り迎えしていたといい、先輩デュアラーでもあります。

 たまたま知った科学読物研究会に参加し、体験のためには学校を休ませることも辞さない「体験が第一」というモットーで子育てをした結果、文系の坂口さん夫婦から生まれた二人の息子はそれぞれ理系の仕事についています。「息子たちには『お母さんにガセネタばかり教えられたから、自分で解明しなきゃと頑張ったんだよ!』とよく冗談を言われます」と坂口さんは笑います。

 「自分が子育てをしているとき、子どもたちからの質問に正確に答えられていないなと後ろめたい気持ちがありました」と坂口さんは振り返ります。「でも、女性科学者のレイチェル・カーソンが著書『センス・オブ・ワンダー』で『知ることは、感じることの半分も重要ではない』と書いているのを読んで、とても勇気づけられました。子どもと一緒に楽しんだり、共感したり、不思議に思ったりするだけでもいいのだと」

 では、「科学の第一歩」から、さらに次の一歩を踏み出すにはどうすればいいのでしょうか。意外なポイントは、体験に加えたいもう一つのアイテムでした。