通勤アクセスや周囲の環境・治安、物件の価格や間取り――住まいを決めるとき、最優先にしたい条件は人によって異なるでしょう。子どもが小学校入学前に引っ越す場合、「どんな小学校に通うのか」という懸念が占める割合も大きいかもしれません。入学すると、転勤などの外的要因がない限り、引っ越しのハードルは一般的に高くなるもの。住まい購入も想定して入学までに引っ越ししたいという思いが少しでもある人にとっては、年長の夏が駆け込みチャンスとも言えます。メリット、デメリットなどを紹介した1回目に続いて、気になる首都圏の「学区問題」などについてお伝えします。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
(1) 年長の夏から駆け込み!入学前に考えたい学区問題
(2) 駆け込み!中学受験する・しないで学区選びは変化? ←今回はココ
(3) 理科力が芽生えるおうち遊び 足すべき意外なものは
(4) 年間270回出前講座する人気先生おすすめ科学あそび

公立小や公立中にも「名門」がある?

 公立の小学校や中学校なんてどこも同じ――そんなふうに感じている人も多いかもしれません。ですが、「同じ市内、区内の公立小・中学校といっても、その中には私立中受験率の高い小学校の学区や、都立トップ校への合格人数が多い中学校の学区があるものです」と安田教育研究所の安田理さんは言います。

 都内の場合だと、文京区の3S1Kといわれる小学校(誠之小、昭和小、千駄木小、窪町小)や文京六中、中央区の泰明小など、公立小・中でも有名な学校の名を聞くことはあります。そうした学校は“公立の名門校”と呼ばれますが、名門とはいっても公立です。どうして、“名門”になっていったのでしょうか。

 「名門といわれる学校にはもともと教育熱心な家庭が集まってくるので、学校への要求レベルが高まります。学校も生徒のレベルに合わせようとするので、授業のレベルが高まったり、定期テストが難しくなったりする。すると生徒のレベルがさらに高くなるという好循環が働くのです」(Z会進学教室の御茶ノ水教室で高校受験生の指導に当たっている尾田哲也さん)