暑さ真っ盛り。夏ならではのプールや水遊びを楽しみたい季節です。しかし同時に、水には様々なウイルスが介在しやすく、感染症のリスクもあります。「こんなときはプールOK?」「夏に流行する病気にはどんなものがある?」「夏風邪を予防するには?」――。夏の病気についてのよくある疑問を、自身も3児の母である「知ろう小児医療 守ろう子ども達の会」代表の阿真京子さんに聞きました。

【年齢別特集 保育園】
(1) 熱中症予防 脱水のサインとエアコンの上手な使い方
(2) プール入れない? 夏に注意したい感染症、夏風邪は ←今回はココ 
(3) 幼児の性の悩み 「タブー視」がもたらす悪い影響
(4) 性器いじり、質問への答え方…人に聞けない性の悩み

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

「水いぼがありますがプールに入れますか?」

 阿真京子です。子どもたちと元気いっぱいで過ごしたい夏ですが、夏に流行する病気もいくつかあります。「知ろう小児医療 守ろう子ども達の会」で発行している小児科医によるメルマガなどを基に、夏の病気について知っておきたい情報をまとめました。

 まずは、夏ならではの水遊びにまつわる感染症について。

 プールに関連して、問題になる感染症が「水いぼ(伝染性軟属腫)」です。以前に比べると少なくなりましたが、水いぼのあるお子さんの保護者が時々「水いぼがありますがプールに入れますか?」と相談にみえます。水いぼの原因であるポックスウイルスは水を介して感染するのではなく、直接接触して感染するため、タオルやビート板などを一緒に使わないようにすることなどに気を付ければ、プールを禁止する必要はありません。

 プールを避けたほうがよい皮膚の感染症の代表としては「とびひ(伝染性膿痂疹)」があります。原因となるブドウ球菌は、基準塩素濃度により短時間で死滅することが分かっていますが、感染力が強く、ちょっとした接触でも感染してしまいます。このため、とびひの場合、病気が治るまではプールに入るのはご遠慮ください。

 耳の病気である「外耳道炎(耳の入り口から鼓膜までの道の炎症)」は、プールの水が引き起こすことがあります。これは、ブドウ球菌やカビなどが原因です。耳に水が入ってくることで外耳道の皮膚が柔らかくなり、細菌が侵入しやすくなるのです。また水遊び後、必要以上に綿棒で水分除去を行うと、皮膚を守っているものまで取り除いてしまい、バイ菌が増えやすい環境をつくってしまうため、注意が必要です。

塩素消毒されたプールでしばし生存する細菌・ウイルスも

 プールの水はどうしても、下痢や便失禁、体についた便の残りなどで汚染されてしまうのですが、塩素化による消毒で多くの病原体は死滅します。しかし、いくつかの細菌、ウイルスなどは抵抗力があり、適切に塩素化されたプールでも一定期間生存が可能です。

写真はイメージです
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<次のページからの内容>
・塩素消毒されたプールで生存するウイルスも
・夏に流行しやすい三つの病気
・どんな症状が出たら疑わしい?
・夏風邪を予防するには
・免疫機能を最大限に発揮するために