ご飯やパンはよく食べるのに、野菜はほとんど食べない――。そんな、子どもの野菜嫌いに悩むママやパパは多いのではないでしょうか。何とか食べさせようとあの手この手を尽くしても報われないと、がっかりしたり、心配になったりしますよね。子どもの野菜嫌いを克服するにはどうすれば? どうしても食べないときはどうすればいいの? といった悩みの解決法について、女子栄養大学短期大学部調理学研究室・新木由希子さんに聞きました。

【年齢別記事 保育園のママ・パパ向け】
(1) 子の外遊びがなかなか終わらない さっと帰るには
(2) いじわる、仲間はずれ 園での友達トラブルはどう解決?
(3) 「人前でモジモジする子」に親がやってはいけないこと
(4) 子どもの「何となく不調」は野菜不足が原因の場合も ←今回はココ

野菜不足が子どもの体調不良を引き起こすことも

 野菜の独特の苦みや食感を敬遠する子は少なくありません。子どもに「何で食べなきゃいけないの?」と聞かれたら、ママ・パパはどう答えますか?

 「人間は、生きていくために必要なエネルギーを自らの体内で作り出すことができません。そのため、体づくりに必要な栄養素は、食事から摂取する必要があります。これが、『食事をする』ことの最大の理由です」と新木さんは言います。

 「じゃあ、好きなお肉だけ食べる」「ご飯をたくさん食べるから、野菜は食べなくてもいいよね」と野菜嫌いの子は言うかもしれません。新木さんはこう話します。「食材によって含まれている栄養素は異なります。偏った食材ばかり食べていると、当然ながら不足する栄養素が出てきて、体のバランスを崩すことにつながりかねません。なかでも野菜が不足すると、『なんだか体の調子が悪い』という不快感を生みかねません。幼児は、大人のように体の体調不良をはっきりと口にすることが難しいため、実は野菜不足が引き起こしている、見えない不快感を抱えている未就学児も多いのではないでしょうか」

 具体的には、どのような体調不良を引き起こしかねないのでしょうか。次のページで詳しく紹介します。

 また、例えば、ミニトマトなら食べるけれどもそれ以外の野菜は食べない、といった具合に、特定の野菜「ばっかり食べ」をする場合もあるかもしれません。新木さんは「野菜を全く食べないよりはいいことです。ですが、色々な栄養素をとる、という側面では、できるだけほかの野菜にもチャレンジしてもらいたいと思います」と言います。

 子どもが野菜を食べないなら、栄養素は市販の野菜ジュースで補えるのでは、と思うかもしれません。それに対しても、新木さんは「そうした野菜ジュースはあくまで補助として活用してください」とのこと。その理由についても次のページで解説します。

 新木さん自身も、保育園に通う女の子のママです。「実は私の娘も野菜が苦手です。ですから、食べてくれるようにあれこれと工夫をしています」と話します。専門家の視点から、野菜を食べることの意義、子どもが野菜を食べることができるように新木さん自身が実践している工夫についても紹介してもらいます