近くに両親(子どもにとっての祖父母)がいて、育児を助けてもらえることは、共働き子育てをしている親にとっては心強いものです。コロナ下の今はサポートを受けにくい状況でも、ワクチン接種が進んだら、また状況は戻るはずです。一方で、祖父母が孫を甘やかしてしまうなど、自分たちの育児方針の違いに困惑するとき、どのように祖父母とコミュニケーションをとっていけばよいのでしょう? ご自身も5人の孫の祖母で、親子関係に詳しい大日向雅美さんに話を聞きました。

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祖父母の孫育てはメリットばかりではない

 お迎えが遅くなりそうなときや子どもが病気のときなど、行き来できる距離に、安心して子どもを頼める祖父母がいてくれることは、共働き家庭にとって心強いものです。その一方で、祖父母を頼りながら子育てをする人の中には、「すぐにお菓子やおもちゃを買い与えてしまう」といった甘やかしや、場合によっては子育てや働き方や生活に干渉され、困惑しているというケースもあります。祖父母への頼り方の難しさや、コミュニケーションのとり方に戸惑いを感じたとき、親はどうすればよいのでしょう?

 こうした親の悩みに対して「忙しい共働き夫婦にとって、祖父母の力はありがたい一方で、メリットばかりではないということは、どの家庭にも言えることです」と話すのは、家族や親子関係の発達心理学に詳しい、恵泉女学園大学学長の大日向雅美さんです。

 「親にとっては、信頼できる祖父母に頼れる環境があるというのは安心ですよね。また、祖父母にとって、孫がかわいいことも、孫の世話ができて幸せなことも確かです。であれば忙しい共働き夫婦は、祖父母の手を借りて育児をすればウィン・ウィンではないかというと、現実はそう単純なものではなく、双方にとってメリットばかりではないというのが実情です」

 大日向さんによると、親世代との別居が一般的な現代では、義理の親よりも、遠慮のない実の親、特に実母(祖母)と娘(母親)の関係の方が困難に陥るケースが多いのだそう。

 「実母と子育て期の娘との関係がネガティブになっていくケースでは、単に時代が違う、親世代と育児方法が異なるなどという小さな違いが問題なのではありません。根っこには祖母の自分の人生に対する思いや、娘(親)夫婦の自立の問題など、根本的な問題が存在しており、一筋縄にはいかない難しさがあります」

 こうした中で、祖父母世代とうまくコミュニケーションをとっていくためのキーワードは「距離感」だと大日向さん。「どうにもならないとき、祖父母に頼ってはいけないということではありません。ただし、祖父母世代とよい関係を保つためには、程よい距離感がとれているか、夫婦が自立できているか、といった点を見直すとよいでしょう」と大日向さん。次のページから詳しく聞いていきます。