デュアルファミリーの皆さんはどんな寝かたをしていますか? 子どもと接する時間が少ない共働きにとって、ぷくぷくした子どもに触れながら眠るのは至福のときですね。しかし、そろそろ一人寝をさせようかと気になる方もいるのではないでしょうか。そこで今回は日経DUALでもおなじみのチャイルド・ファミリーコンサルタントの山本直美先生に一人寝へのステップについてお聞きします。また子どもが乳幼児期の寝かたがもたらす危機について、前回に引き続き篠田有子先生にお話を聞いていきます。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
(1) 共働きに最適の寝かたは?子の情緒を育てる川の字寝
(2) 添い寝卒業には子どもの動機と自分への信頼が必要 ←今回はココ
(3) 初めてのお手伝い 子どものタイプ別成功術
(4) モンテッソーリに学ぶ お手伝い事始め

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

子どもが巣立ったあとの夫婦関係は、幼児期の寝かた次第

 20年にわたり、日本全国の5000件以上の寝かたのデータを分析・研究し、日本の家族の寝かたの変遷を見てきた篠田有子先生によると、「かつて日本の家族の寝かたを調査した欧米の研究者・コーディルは、日本人は寝室が複数あるのに家族で一室に集まって添い寝をしていることや、夫婦が別々の部屋に寝る家庭があることにとても驚いていた」といいます。

 「もっともそれは異なった文化からの見方です。添い寝は以心伝心で親子の愛情が伝わり、それによって、子どもの情緒が安定する日本文化における財産です。ぜひ3~4歳までは『母親中央型』の添い寝で子どもの情緒を育て、父性が効果を発揮する子育てをしてください、しかしコーディルが驚いた後半の部分、『夫婦が別々の部屋に寝る家庭もあること』については私も心配しています」

 篠田先生によると、「子どもが巣立った人生の後半に夫婦がお互いの伴侶となれるどうかは、最も忙しい子育て期の寝かたにある」といいます。次のページからはその点について詳しくお聞きしていきます。

子どもが自分から「一人で寝てみよう」という動機を持つことが大切

 欧米では、子どもは生後数カ月から親とは別室に寝ます。日本でも就学を見据えて子ども部屋を用意したりすると、子どもを一人で寝かせたほうがいいのかしらと考え始める親も多いようです。今まで親と一緒だった添い寝から一人寝にスムーズに移行する方法はあるのでしょうか。チャイルド・ファミリーコンサルタントの山本直美先生はこのように話します。

 「幼児期の最終的な目標は、自分の心と体を取り扱えるようになることです。一人で寝られるようになることもその一つです。もしも親が『そろそろ一人でゆっくり寝たいわ』と思っているなら、就学ごろをめどに一人寝ができるように働きかけていくとよいですね」

 「子どもの一人寝に必要なのは、動機ときっかけです子どもが自分で『一人で寝てみよう』という動機がなければ、いくら親がすすめても一人寝はできません。動機としては『小学生になるからそろそろ寝てみようかな』でもよいですし『二段ベッドを買ってもらったからきょうだいだけで寝てみよう』でもよいでしょう。就学時には学習机を買ったり、子ども部屋を整えるご家庭が多いと思いますのでその際に、家族が寝る環境を子どもと一緒に見直してみると、よい動機付けになると思います」

 もう一つ大切なのがきっかけだと山本先生は話します。「ものごころついたころから親と寝ている子にとって、一人寝への移行はそんなに簡単ではありません。もしもおばあちゃまの家に一人で泊まったり、子どもたちだけの合宿に参加して寝られたという経験をしたら、それは一人寝のチャンスです。親と離れて一人で寝られたということは、心と体を自分で扱えたということ。それが『僕は一人でも大丈夫だ』という自分への信頼や自信となって、親から離れて寝てみようかなというきっかけになるのです」

 「動機ときっかけがそろったとしても一人寝がスムーズな子もそうではない子もいます。『皆一人で寝ているみたいだよ』と誘ってみて、3歳くらいでもすんなり寝られる子もいれば、年長さんで『オバケが怖い』と寝られない子もいます。一人で寝られたとしても、朝まで中途覚醒しない子もいるし、喉が渇いたと夜中に起きて親の部屋に来てしまう子もいます。どんな場合でも、受け入れてあげて、寝入るまでは手をつないだり本を読んだりして、子どもが安心できるようにしてあげてください。『ママも最初は怖かったよ』と気持ちを受け入れてあげるとだんだん『こわくないんだな。大丈夫なんだな』とわかってくるでしょう

<次のページからの内容>
● 夫婦のタイプによって異なるセックスの頻度
● 子どもの一人寝は夫婦再接近のチャンス
● 数年後、布団にぽっかり空間ができないように、意識してコミュニケーションを