小さい子どもが大好きな「ごっこ遊び」ですが、「実はごっこ遊びが苦手」「できれば相手をしたくない」と思う親も少なくないようです。そんな苦手意識を持つ親にとって気になるのは、「ごっこ遊び」の意味。「ごっこ遊びは小さい子どもにとって、知的発達の中心に位置づけられる重要なものです」と、東京家政大学子ども学部教授の岩立京子さんはいいます。幼児の発達に詳しく、幼稚園での園長経験もある岩立さんに、子どもの発達における、ごっこ遊びの役割や、苦手な親がごっこ遊びを一緒にする際のコツなどについて聞きました。

【年齢別記事 保育園のママ・パパ向け】
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 ヒーローごっこやお姫様ごっこ、お人形遊びにおままごと……。子どもは、何かになり切ったり、まねをしたりするごっこ遊びが大好きです。

 一方で、「お父さんは『悪者』ね」「お母さんは『赤ちゃん』になってね」と子どもにせがまれ、一緒に遊ぶものの、気恥ずかしさもあり、どう振る舞えばいいか分からず戸惑った経験はないでしょうか。始まり・終わりも曖昧なため、延々と続くごっこ遊びにうんざりしてしまうこともあるかもしれません。

 「親がごっこ遊びに戸惑いを感じるのは、『子どもの世界に入っていくことを強いられる』『子どもの思い通りにさせられる』という点が大きいと思います。子どものごっこ遊びは、本当に自由な想像の世界です。ヒーローや恐竜、お姫様など、現実世界には存在しないものや、経験できないものにもなれるのです。けれど大人は現実世界にがんじがらめになっていて、効率を重視し、必要に迫られて行動することがほとんど。そこでは『恐竜』になったり『魔法使い』になったりすることはありません。そんな状況からいきなり子どもの想像世界に引き込まれ、役になりきれと言われ、抵抗を感じるのは当然です」

 大人には戸惑いも多いごっこ遊びですが、「ごっこ遊びは、人間の知的発達の中心に位置付けられる、極めて重要なものです」と岩立さん。そして、発達をより促すためにも、親がごっこ遊びに参加することは大事だそうです。

 ごっこ遊びを通して子どもの成長を促すポイントや、親子でより楽しむための工夫について、紹介していきます。

この記事で分かる内容
・大人が苦手なごっこ遊び、一緒にするときのポイントは?
・今は一緒に遊べない……子どもを傷つけない声がけは?
・より想像の世界を広げるための仕掛けとは?