走るのが遅い、片足立ちが苦手、リズム運動をしたがらない…。運動が苦手な子を持つママの中には、焦りやコンプレックスを感じている人もいるかもしれません。実際に未就学児のうちにどの程度の運動ができるようになればいいのでしょうか。子どもの運動能力の発達の目安や、子の運動にまつわる親のお悩みへのアドバイスを聞きました。

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小さい子の運動能力の発達の仕方は一人ひとり違う

●体の機能や発達面の遅れを指摘されたことはないけれど、走るのが遅く、普段の動きも緩慢なわが子。保育士さんから「もっと普段から運動をさせてください」と注意されました(38歳・マスコミ・専門職・3歳のママ)
●「子どもは2歳のころ、リズム運動をやりたがらず、ほかの子ができるスキップや両足ジャンプがうまくできませんでした。足腰を鍛えるため、自転車通園から徒歩通園に切り替えるように言われ、毎朝40分かけて歩いて登園していました」(38歳・IT・企画職・7歳のママ)

 これらは、子どもの運動能力に悩む親たちから実際に寄せられた声です。

 周りの子と比べて走るのが遅かったり、リズム運動の動きがうまくできなかったりすると、「このまま小学生になったら、運動が苦手なせいでいじめられるのでは」などと親は心配になってしまうかもしれません。そもそも保育園児の運動能力について、どこまで気にするべきなのでしょうか。

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 17年以上の子どもの運動指導経験を持つスポーツインストラクターの伊藤一哉さんによると、小さい子の運動能力の発達の仕方は一人ひとり違うといいます。

 「今まで何万人もの子どもたちを指導してきた立場から見ると、医学的な見地から発達の遅れを指摘される一部のケースを除けば、『何歳だからこれができなければならない』と一概には言えないと思っています。

 今できないことが翌日、翌週には急にできるようになるのが子どもです。例えば、3歳児健診の項目に入っていることがある『片足立ち』がうまくできず、私の指導を受けにきた子が、やってみたらすぐにできたこともあります。子どもは新しい動きを自分の目で見たり体験したりして覚えていきますが、普段から家の中で親が片足立ちをやってみせる機会は多くないはず。経験の少ない動きをできないのは、当たり前なんです」

 運動に関しては個人差が大きいもの。できないことを心配するよりも、さまざまな動きにチャレンジして「子どもがやりたがることを探す」ことが大切だと伊藤さんは言います。

 「その子が好きな運動を見つけたり、好きな先生に出会ったりすることで一気に伸びることが非常に多いのです」

 次のページから、保育園児の運動能力に対する親の悩みについて、伊藤さんに解説してもらいます。

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