梅雨時期といえば、外で思い切り遊びたい子どものエネルギーが発散されず、もんもんとする季節です。ついついテレビや動画を見せてしまいがちですが、そういうときこそやってほしいのが水遊びや室内遊びです。

 前回は泥水遊びをご紹介しましたが、今回は親子で一緒に楽しむおもちゃ作りや運動遊びをご紹介します。同志社女子大学・現代社会学部現代こども学科教授の竹井史さんに手作りのおもちゃ作りを、「ひろみちお兄さん」こと佐藤弘道さんに雨の日でも体を動かせて子どもの運動能力を伸ばせる遊び方を教えてもらいました。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
(1) 梅雨は水と遊ぼう 知性と感性を育む「泥んこ遊び」
(2) 雨の日は室内で手作りおもちゃ&運動遊びを ←今回はココ
(3) 保育園児の週末は“詰め込み”よりリラックスを
(4) 休日のお友達遊びは、けんかをしても見守って

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

人間同士のつながりを深める“共感体験”

 これまでにも数え切れないほどの簡単にできる手作りおもちゃを考案してきた竹井さん。市販のおもちゃではなく、あえて親子で手作りしたおもちゃで遊ぶ魅力について、次のように語ります。

 「日常的な生活の中で、親は親、子どもは子どもの役割を演じながら生きています。ですから、例えば、パパがパパを演じてばかりだと、なかなか親子の絆は深まりません。深くするためには、親子の関係というよりも、お互いの人間同士のつながりのパイプをどれだけ太くできるのかが大事。そのために必要なのが、“共感体験”なんです

 共感体験とは、お互いが共通の目的に向かい、親子で達成感を共有する体験のこと。

 「よりたくさんの共感体験をするには、市販のおもちゃよりも手作りおもちゃのほうがいいんです。親子でああでもない、こうでもない、こうしたらいいかもといった意見交換をしながらおもちゃを作っていきます。完成してうまく遊べたときには、親子で達成感が共有できる。そこが大きなポイントとなるのです」

 達成感を共有するためには、最初はお互いにそれぞれ作るのではなく、一つのおもちゃを一緒に作るのがいいと提案します。

 「一緒に作ることを、まずは楽しんでいただきたいですね。そして、失敗したり、成功したり、一喜一憂しながら完成したときにお互いの喜びになりますから。一緒に作ることで、共通の経験というものが蓄積されると、人間同士のつながりが深くなり、その結果、親子のパイプがさらに太くなっていくのです

 一緒におもちゃを作ることが、お互いを見直すいいキッカケにも。

 「パパがハサミを器用に使うと、『お父さんスゴい!』と尊敬してくれます。子どもは子どもで、何か作ったときに『コレ、○○みたいだね!』などと、大人では思い付きもしない面白い世界観の話をしたりする。頭が固くなってしまった親からすると、『お? なかなかの発想力だな』などと感心することもあるでしょう。お互いのいいところを発見し合って、さらに絆が深まるのです」

 今回紹介する手作りおもちゃは、すべて親子で作って、それで終わりというものではないと、竹井さん。「私が提唱しているのは、作った後に親子で一緒に遊ぶことを想定した“作って遊べるおもちゃ”です。つまり、手作りおもちゃというのは、親子のコミュニケーションツールとして捉えてほしいんです」。

 おもちゃ自体はとても単純な構造のモノばかりですから、コレをこうするとこう変わるといった、変化の過程が全部見える遊びになります。また、遊ぶことにより考える力が身に付くとも。「設計を変えてみるといった経験によって、科学的な発想も鍛えられますから、ぜひ、いろんな発想で変化をつけてみてくださいね」。

 それでは、アタマの体操にもなり、雨の日の室内遊びにぴったりな手作りおもちゃを3つ、次のページから紹介していきます。

記事後半では親子で楽しめる運動遊びをご紹介します
記事後半では親子で楽しめる運動遊びをご紹介します
<次のページからの内容>
●季節の花の美しさに子どもの目がキラキラ「ペットボトル水中花」
●ブー、グァと動物の鳴きまねでも盛り上がる「ストロー笛」
●親子でわいわい即席つり堀「ペットボトル魚つり」
●親もウエストを鍛えられる「あらあらっ、キリンさん」
●子どもは喜ぶが、親は全身運動の「ゴーゴー、ドライブ」
●親子で全身の筋力を鍛えられる「ひこうきにのって、き~ん」
●家がフローリングならば絶対面白い、バランス感覚も養われる「まほうのじゅうたん」