保育園に通う年齢でも、4歳ごろまでと違い、5歳になると男女問わず口答えが立派になってきて驚かされることがありますよね。2歳前後のいわゆる「イヤイヤ期」と違い、反抗する態度も立派で、時に筋の通った物言いに「いい加減にしなさい!」「もう知りません!」などと頭ごなしに叱ってしまうシーンもあるかもしれません。

 大人でも「確かにそうかもしれない」と思うような言い返し方をされて、それでも子どものためにこうしてほしいということがあった場合、いったいどうしたらいいのでしょうか。

 ほあしこどもクリニック副院長であり、臨床心理士の帆足暁子先生にお話を伺いました。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
(1) 実は危ない乗り方とは? 子乗せ自転車ルール再点検
(2) てぃ先生 子ども同士のトラブル、親は介入していい
(3) 大人を冷めた目で見てる…5歳からの中間反抗期 ←今回はココ
(4) 自分の思いを通したい時期の子どもに従うのは間違い

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

5~7歳くらいの中間反抗期は“わたしとおなじじゃん”と思う時期

 親「今7時45分だから、8時になったら歯を磨こうね」
 子「……」
 親「聞いてる?」
 子「(親のほうを見ずに)聞いてるよ。分かった」
 (8時になっても動かない子どもに対し)
 親「8時になったら歯を磨く約束だったでしょ?」
 子「(親のほうを見ずに)今、これ途中だから(遊び続ける)」
 親「ちゃんとこっちを見て、話を聞きなさい!」
 子「(親のほうを振り向いて)ママだって、話聞いてくれてないじゃない!!  今、途中だって言ったでしょ! ママこそ、歯を磨いたの!?」
 親「ママの話じゃないでしょ! 歯は誰のために磨くの?」
 子「今は、そういうこと(話)じゃない!!」

 これは、筆者のある平日の朝の会話です。食後、子ども(5歳)はブロックを出してきて何かを一生懸命作っていたので、邪魔をされたくなかったのかもしれません。とはいえこちらは出かける前の支度や夕飯の仕込みなどをしていて、1分でも時間を無駄にしたくない。遊ぶ時間を15分は見ていたんだし、約束は守ってほしい。言い合いをしている間にも出かける時間は迫り、焦っている。話を聞かなきゃと思いながら、口答えにカチンときて思わず普通に言い返し、頭の片隅で「しまった!」と反省。それにしても去年までは、もう少しスムーズだった気がするのに、いつからこうなったのだっけ?

 ほあしこどもクリニック(東京・世田谷区)の副院長であり、臨床心理士の帆足暁子先生は、「子どもの成長もありますが、親も変わってきているんですよ」と言います。

 「2~3歳の第一次反抗期は、体で表現するような反抗期。“自分でやる!”とイヤイヤをしたとしても、夜になれば“ママがいい~”などと甘えてくるので、“自分でやるって言えるほど、大きくなったのね”などと、親はまだバランスをとりやすいものです。一方、5~7歳くらいの中間反抗期は、自分でできることも増えているし、知識も付いてきて、口答えをする時期。それまでは親の庇護のもとで子ども然としていたのが、だんだん大人がやっていることを客観的に見ることができるようになり、“ああだ、こうだ“と大人と同じになったつもりで自分を主張してくる時期なんです」

<次のページからの内容>
● ママだってやってたでしょ! と反抗されたら?
● “まだ5歳で小さいもんね”と赤ちゃん扱いはNG
● 子どもは伝わる感情と言われる言葉のギャップが大きいほど嫌がる
● 理由を伝えずイライラしていると子どもは嫌われていると勘違い
● 「もう知らない!」など捨てぜりふをはかない
● 「どうしてそんなことするの?」の答えは親が考えること
● 親の反省は子どもには意味がない