暖かな春の休日、緑の多い公園へ遊びに行く親子も多いでしょう。忙しい共働き家庭にとって、自然の中で親子で過ごす時間は貴重です。せっかくの経験を、小学校や中学校での理科への好奇心につなげるにはどうしたらよいのでしょうか。お茶の水女子大学教授で、文京区立お茶の水女子大学こども園元園長の宮里暁美さんに、理科的な探究心を育む春の外遊びのポイントを聞きました。

【年齢別記事 保育園のママ・パパ向け】
(1) 子どもがなついてくれない、この関係がずっと続くの?
(2) 子どもと一緒にいても笑顔のない親が忘れていることは
(3) 理科的な好奇心が育つ! 親子で楽しい春の自然遊び ←今回はココ
(4) 共働き家庭の単身赴任 ワンオペ生活どう乗り越える?

子どもは春に気づくのが上手

 保育園では1つ学年が上がり、職場でも新しい年度が始まった4月。30年以上、保育の現場で子どもたちを見守り、自身も2男1女の母である宮里さんは「4月は次のステップに進む子どもや親の姿に、草木の芽吹きが重なる季節。暖かな春の日差しが、新たなスタートを切る共働き親子を後押ししてくれるような気がします」と話します。

 「こども園の散歩で実感するのが、子どもは大人よりも春を見つけるのが上手ということです。冬から春へは季節が大きく変化するので、子どもは地面を見てアリを、空を見てチョウを見つけては大人に教えてくれます。

 一方で親御さんたちは、忙しくて考え事をしていたり、前方に注意を向けたりしているので、せっかくの春に気づきにくいかもしれませんね。平日は生活を回すことが優先なのでそれでもいいと思います。その分休みの日は、近くの公園で春ならではの体験を楽しんでみてください」

 その際「親が教えてあげよう、遊んであげよう」と構える必要はないそうです。「自然の中でのんびりしようというくらいの気楽な気持ちで出かけましょう」と宮里さん。

 「広い場所で親子で思いり走ったり、気持ちのいい木陰にレジャーシートを敷き、ごろんと横になったりしてリラックスしましょう。青空を見上げたり、葉っぱが風にそよぐのを見たりして、『ぽかぽかして気持ちがいいね』『そうだね』と言葉を交わしたり笑い合ったりするだけでも子どもはうれしい気持ちになります。

 そうするうちに子どもは自然の中に『面白そう』『不思議だな』と思うことを見つけます。この発見が、子どもの理科的な好奇心につながる『根っこの体験』となります。親は根っこの体験の中で次の5つができるようにサポートしてあげると良いでしょう」

【根っこの体験で意識したいこと】

・身近な自然をじっと見る
・驚く
・さまざまに感じる
・感じたことをつぶやく
・自然を取り込んで遊ぶ

 これらは大人の言葉で言うと「観察」や「実験」にあたりますが、言い換えた途端、堅苦しいものになってしまいます。「親御さんはぜひ子どもの発見に共感し、根っこの体験を一緒に味わってください。次に紹介するような自然遊びを子どもに提案し、その中で根っこの体験をつくっていくのもよいでしょう」

【自然遊びに必携の持ち物を記事後半で紹介】

・虫が苦手な子にお薦めのものは?
・色水をつくりたいときに便利なものは?
・詳しく調べたいときに便利なものは?