保育園入園など新しい生活が始まると、体調を崩して病院にかかり、薬を処方される機会も恐らく増えるでしょう。子どもに上手に薬を飲ませられるか不安なママ・パパは多いかもしれません。

どうやって飲ませれば抵抗なく飲んでくれるの? 薬を苦手にしない方法はあるの? 親がぜひ知っておきたい工夫について、小児科専門医に聞きました。「シロップ、粉薬の飲ませ方」「食べ物と混ぜるときの注意点」」「味覚や自我を考えた年齢別アドバイス」などを取り上げた前回に続き、今回は「食前・食後っていつ?」「保育園で飲ませてくれないときは?」「坐薬・貼り薬・点眼薬はどう使えばいい?」「楽しい雰囲気のつくり方は?」など子どもの薬にまつわるよくある疑問について取り上げます。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
(1) 子ども乗せ自転車 安全な乗せ方は?雨の日は?
(2) 嫌がる子どもにどうやって薬を飲ませればいい?
(3) 食前とは?坐薬や点眼薬どう使う?子どもの薬の疑問←今回はココ
(4) 日中は離れていても「読み聞かせ」で心をつなぐ

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

体調が悪い子どもは食べたり食べなかったりだけど…

 子どもに薬を飲ませるとなると、さまざまな疑問が生じます。小児科専門医で生馬医院院長の小山博史さんに教えてもらいました。

Q 子どもの場合、「食前」「食後」などの指示は守るべきなの?

 処方された時に「食前」「食後」などの指示がありますが、どれくらい厳格に守るべきなのでしょうか。離乳食前の子どもや、体調が悪い子どもの場合、厳密にどれが食事かを判断できないことも多いです。また、アイスクリームなど食べ物に混ぜる場合は、食後といっていいのか、悩むという声もあります。

 「まず、成人一般では以下が推奨されています」

食前:食事の30分くらい前
食後:食事の後30分くらいまでの間
食直前:食事のすぐ前
食直後:食事のすぐ後
食間:食事の約2時間後

 「食前、食後という指示が出るのは、おおかた以下の目的があります」

(1)食物の影響を避けて飲ませるという目的
(2)食物によって薬の吸収を抑える目的
(3)食事と関連させて飲み忘れを防ぐ目的

 「(1)を意識する薬として代表的なものは漢方薬と、前回お話しした一部の抗生物質です(漢方薬は種類によっては食後のほうがいいといわれている物もある)。ただし、飲まないよりは飲んだほうがましですので、間違って飲んだからといって効果がなくなるわけではありません。(2)を意識する薬として代表的なものは、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬といわれるもので、幼小児では川崎病などの特殊な病気以外では通常使われることが少ない薬であるため、実質、食後という指示のある薬を空腹時に飲んだとしても影響を考慮する必要がほとんどありません

 では、離乳前など、食事間隔が定まっていない場合はどう考えればいいのでしょうか。

写真はイメージです
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<次のページからの内容>

● 嘔吐などで食事を取れない可能性がある場合は?
● 保育園でお昼の薬を飲ませてくれないなら?
● 楽しい雰囲気づくりが大事! 薬を「擬人化」する方法
● 坐薬でよくある失敗例
● 坐薬、貼り薬、点眼薬の注意点は?