4月の小学校入学を控えた保育園児や親は、期待に胸を膨らませると共に、ちょっぴり不安や緊張も感じているでしょう。生活習慣や心構えにおいて、入学前の親子はどこまで何を準備しておいたほうがいいのでしょうか。東京都文京区立柳町小学校の元校長、秋山明美さんに聞きました。前編の今回は主に生活習慣や心構えについて、後編では家庭でできる学習準備についてお伝えします。(DUAL特選シリーズ/2021年3月10日収録記事を再掲載します)

【年齢別記事 保育園のママ・パパ向け】
(1) ぬり絵、折り紙…パターンのある遊びが育む本質的な力
(2) 幼児期「遊び込む」経験が小学生以降の学びの土台に
(3) 入学前の生活習慣と心構え 「親子でワクワク」を大切に ←今回はココ
(4) 入学前の学習準備 大切なのは「読み書き」だけじゃない
(5) 学童保育どう利用? コロナ下で変わる放課後の過ごし方
(6) 就学前に親から子に教えたい「交通安全」3つの約束

入学説明会の書類を見て焦ることも…

 保育園年長の子がいる家庭にとって3月は、長年親しんだ保育園を卒園すると共に、いよいよ小学校入学に向けて準備をしていく時期です。

 小学校の入学説明会で「入学前に身につけておきたいこと」などがリストアップされた書類を渡され、「うちの子、ここがまだできてない」と焦りを感じている人もいるかもしれません。小学校に入学すると、朝の起床時刻が変わる家庭もあるでしょう。日中は時間割に合わせて生活し、放課後は学童保育にも通うなど、生活リズムが大きく変わります。どう準備すればいいのでしょうか?

 「一番大切なのは、親が楽しい気持ちで入学を迎えることです」。そう話すのは、東京都文京区立柳町小学校の元校長、秋山明美さん。自身も共働きで二人の子どもを育てた経験があります。「働いているとつい、育児においても仕事のように『落ち度がないように、完璧にしなければ』と思ってしまいませんか? けれど、完璧を目指すとつらくなります。小学校1年生は、義務教育9年間のスタート。むしろここからいろいろ身につけていけばいいと、おおらかに構えてください」

 とはいえ、家庭で何もしなくていいわけではないと秋山さん。生活習慣については、「できるようになろうね」という気持ちで、入学前から家庭で少しずつ取り組むことも大切だと言います。また、入学への前向きな気持ちを育むために、親の関わり方や声がけにもコツがあるのだそう。

 では具体的に、どんな点を心掛けて過ごせばいいのでしょうか。次のページから、以下のような疑問について秋山さんに聞いていきます。

入学前の生活習慣&心構え、ここが知りたい!

1、入学前から、小学校の登校時間に合わせて起きる練習をしたほうがいい?
2、身の回りのことを一人でできるようにしたい。新習慣を身につける際のコツは?
3、「小学校が楽しみ」というワクワク感を育てるには?