子どもの靴は、すぐに足を入れられる、履かせやすい靴を選んでいる親御さんは多いかもしれません。しかし実は、その靴選びがお子さんの足の成長に大きな影響を及ぼしているかもしれないのです。

また、「すぐに靴が小さくなってしまうから……」と大きめの靴を選ぶのも、歩いたり走ったりしていると脱げやすいので、子どもの足を痛める原因になってしまいます。

知っているようで知らない子どもの靴選びについて、子どもの足のトラブルに詳しい塩之谷整形外科の塩之谷香院長と、子どもの靴選びのエキスパート、フラウプラッツ代表の伊藤笑子さんにお話を伺いました。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
(1) 走るのがニガテ その原因は浮き指かも
(2) 子どもの靴選びは足を固定する「かかと」が命 ←今回はココ
(3) 子のアートの心を育てる 絵の具、フェルト遊び
(4) 子どもの五感を刺激 外で色水遊びと自然スケッチ

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

与えてはいけない靴とは?

 子どもの足を育てるためにどんな靴を選んだらいいのかを考える前に、通園、遊び用に毎日履かせることを控えたほうがいい靴があることを知りましょう。

 「売れている靴=いい製品とは限りません。売れているのは、多くの人が手に取りたくなる仕掛け(マーケティング)があるからで、みんなが履いているからいいに違いないというのは誤りです。特に、次に挙げる二つは避けてください」(伊藤さん)

NG【1】
かかとの部分(履き口)が爪先に向かって広がっていて、留め具を外さずに足をズボッと入れられるもの

写真提供/いずれもフラウプラッツ代表の伊藤笑子さん
写真提供/いずれもフラウプラッツ代表の伊藤笑子さん

 「この写真の靴のように、履き口が爪先に向かって広がっているような靴は避けてください。子どもの足首はこんなに太くありませんし、履き口が大きいと、確かに脱いだり履いたりするのは簡単ですが、足首やかかとがしっかり固定できないので、歩いたり走ったりするたびに靴の中で足が前方や側方にずれ、歩きにくいだけでなく、つまずきや転倒などのケガの原因になります。留め具があっても、履き口がしぼまない靴は、足の動きに合わないので適切とは言えません」(伊藤さん)

NG【2】
ひもや面ファスナー(マジックベルト)などの留め具がないもの

 「子どもだから簡単に履けることが一番と、手を使わずに脱ぎ履きができる靴は便利だと思いがちですが、留め具がないものは、足で靴を引っ掛けるようにして歩くことになりますので疲れやすく足の発達や姿勢にも影響を及ぼしてしまいます。練習すれば子どもでも留め具が操作でき、靴もきちんと履けるようになりますので、ぜひやらせてあげてください」(伊藤さん)

<次のページからの内容>

● かかとに一本のベルトがあるサンダルは要注意
● 冬のムートンブーツも気をつけて
● 子どもの足を支える靴を選ぶ2つの見るべきポイント
● マジックテープはターンバックタイプを
● 子どもの足に合ったサイズの選び方