「遊びは子どもの仕事」だと言われますが、子どもにとってなぜ遊びはそれほどまでに重要なのでしょうか? 前回記事では、コロナ下で取り組むことが増えた室内遊びの中でも、ぬり絵、あやとり、折り紙など、「パターンのある遊び」に分類される遊びの魅力を紹介しました。今回は、遊びに創意工夫を加えて、自分なりのオリジナルの遊びに発展させていく意味と、そこで育まれる力について、引き続き聖心女子大学現代教養学部教授の河邉貴子さんに聞きました。

【年齢別記事 保育園のママ・パパ向け】
(1) ぬり絵、折り紙…パターンのある遊びが育む本質的な力
(2) 幼児期の「遊び込む」経験が、思考力ある子を育てる ←今回はココ
(3) 入学前の生活習慣と心構え「親子でワクワク」を大切に
(4) 入学前の学習準備 大切なのは「読み書き」だけじゃない
(5) 学童保育どう利用? コロナ下で変わる放課後の過ごし方
(6) 就学前に親から子に教えたい「交通安全」3つの約束

どんどん広がる遊びの世界

 ぬり絵や折り紙といった、「パターンのある遊び」は、創造性に欠けると思われがちですが、実は、それに没頭すること自体に大きな意味があり、そうした経験が子どもの健全な成長に不可欠であることを、前回記事「ぬり絵、折り紙…パターンのある遊びが育む本質的な力」でお伝えしました。

 ただ、子どもたちは、パターンのある遊びであっても、型通りにやってそれで終わり、にはしません。

 「園児たちの遊びは実にダイナミックです。折り紙で折ったうさぎに顔をつけ、さらにはうさぎが遊べるような公園を作りたいと、うさぎ用のすべり台やブランコを作ったり、そこから展開して、自分自身がうさぎに変身してみたり。その展開力は大人の想像をはるかに超えています。やりたい気持ちと創造力とが両輪となって、子どもたちは遊びの世界をどんどん広げていきます」。幼稚園の現場での教育経験が豊かで子どもの遊びに詳しい、聖心女子大学現代教養学部教授の河邉貴子さんはこのように話します。

 「パターンのある遊び」だけでなく、ブロック遊びやお絵描き、工作や、外遊びについても同様だといいます。

 河邉さんは、「ダイナミックに遊びを展開させていく中に、子どもたちがこれから生きていく上で欠かせない、大切な学びがたくさん詰まっている」と話します。

 さらに、「こうした、とことん遊ぶ体験を幼児期に積み上げていない子は、小学校に入学したあとの教科学習への理解が深まりにくい可能性もある」とも指摘します。どういうことなのでしょうか。

 次のページから詳しく聞いていきましょう。

写真はイメージです
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