前回はキッズマナーの専門家から保育園のクラスの集まり等で、外食をした際のマナーについて、お聞きしました。今回は保育のプロ、保育士さんたちにお話を聞いていきます。毎日大勢の子どもたちと過ごしている保育士さんたち。子どもたちを静かにさせなければならない場面ではどんなふうにしているのでしょうか。 子どもたちとのほのぼのとした日常をつづったツイッターが大人気の保育士「てぃ先生」と、2人の保育士さんにそれぞれの工夫をお話ししていただきました。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
(1) 子連れで飲食店 炎上しない親子のマナー
(2) てぃ先生直伝 子どもが一瞬で静かになるプロの技 ←今回はココ
(3) 「3割が半日で乗れる」自転車教室を体験してみた
(4) バランスバイクはどれにする?日本的進化型を研究

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

左から進藤さん、てぃ先生、内田さん
左から進藤さん、てぃ先生、内田さん

参加者
てぃ先生 関東の保育園に勤める現役男性保育士。子どもの豊かな感性とそれに対する気づきを発信したSNSが大人気となり、いまやフォロワーが約44万人に。SNSを基にした著書やコミック、アニメも好評。保育の現場に対する提言や子育てに関する講演、保育士との勉強会も行っている。

内田さん 東京都新宿区の24時間保育の保育園で7年勤務した後、神奈川県内の私立園に移って4年目の中堅保育士。現在は2歳児クラスを担当。

進藤さん 東京都大田区の私立園に新卒で就職して2年目。1年目は0歳児を担当、今年は担任がなく「フリー」として0~5歳すべての子どもたちを見ている。

保育士あるある 「今日はやばい!」は朝の会でわかる

編集部(以降、――) 子どもって2~3人集まるだけでも、はしゃいだりして、「静かにして」と言っても耳に入らないですよね。それが電車の中や図書館、レストランだったりすると、他の方に迷惑をかけてしまうし、周囲の目が気になりとても困ります。保育士さんたちにもそういった経験はあるんですか?

てぃ先生 散歩や遠足の時に、子どもたちのテンションが普段以上に上がってしまうということはありますね。そういったときに、いかに落ち着かせるかが保育士の腕の見せ所なんです。

内田さん(以降、内田) 月曜日よりも金曜日のほうが騒ぎやすいということもありますよね。

てぃ先生 朝の会のとき、“朝の歌”を歌うまでにとても時間がかかるというのも保育士あるあるな話です。そういう日って、朝、子どもたちを受け入れている時点で、「今日はやばいかも」と感覚的に分かるんですよ。朝の会で「今日はこういう活動をやります」と話しているときに、「これ、まずいことになりそうだな」という予感があって、そのあと、「あぁ、やっぱり」となります。

内田 本当に、保育士ならだれしもありますね。

進藤さん(以降、進藤) 保育士によっても子どもたちの反応は違いますよね。私は去年1年目でしたが、慌ててしまうことが多くて。そうすると子どもたちも落ち着きがなくなるんです。

てぃ先生 わかる、わかる。

進藤 子どもたちを落ち着かせるには、まず自分が落ち着かないと。大人が慌てていると子どもは安心できないということがよくわかりました。

てぃ先生 自分に自信がなくて不安でも、自信満々な様子でいたほうが子どもたちは安心できるんですよね。それは、ママ、パパでも同じだと思います。

―― 子どもがはしゃいでしまって、話が耳に入らないということもあります。

内田 園庭に雪が降り積もった朝などはまさにそうですね。子どもたちは登園直後から、遊びたくて、朝からそわそわしています。保育士の話なんて全然耳に入りません。

てぃ先生 そういうときは、よほどの事情がない限り、その気持ちを満たしてあげたほうがいいです。

内田 同感です。遊びたいという気持ちが満足すれば、子どもが気持ちを切り替えられるんです。

―― 保育園では運動会や季節の行事などで園児全体で集まることもありますね。

進藤 お誕生日会、節分、ひな祭り、と毎月何かしらありますね。

てぃ先生 そんなとき、年少や年中の子どもたちが静かにしているのに、年長さんが騒いでいると、年長の担任はもう、いたたまれないんですよ(笑)。ベテランの先生からは「静かにさせよ」という無言のプレッシャーが来ますから、若手の先生などは、本当に慌てるのではないかな。

―― まさに保育士さんの腕の見せ所ですね。それでは、次ページから、保育士さんがそんなときにどうしているかや、ママ・パパへのアドバイスをお聞きしていきましょう。

<次のページからの内容>
● 「静かにさせる」は事前の準備が8割
● ママ同士で話しているときも「見ているよ」のサインを送ってあげよう
● 騒いでしまったら「周りの人に知らせる気持ちで子に話しかける」作戦
● 子どもが一瞬でおとなしくなる小声作戦
● 興奮している子どもに、塗り絵、折り紙は効かない