小学校低学年の子どもの肌は、乳幼児期と比べると少しずつ強くなってきます。とはいえ、まだまだ大人と同じではありません。子どもにすべてを任せていると思わぬ“落とし穴”があることも。皮膚科の医師に、小学校低学年児によくある皮膚トラブルや、トラブルを予防するための生活習慣などについて、お話を伺います。

【年齢別特集 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1)アトピーは二極化 スキンケアの落とし穴に注意 ←今回はココ
(2)油断できない「冬の汗疹」と肌や頭皮の乾燥ケア
(3)急増する低学年の暴力 キレない子どもにするには
(4)お友達に手を上げた 手を上げられたらどうする

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

肌は未熟だけど、行動範囲が広くなり、様々な負荷がかかる

 「皮膚科医の視点から見ると、小学校低学年は意外と難しい時期。乳幼児期と比べれば、皮膚は強くなってきているため、皮膚科から足が遠のく人が多いですが、まだまだ大人の肌と同じではありませんから、思わぬトラブルで受診することもあります」。そう話すのは、わかばひふ科クリニックの野崎誠院長です。野崎さんによると、大人の肌と同じ機能を持つようになるのは12~15歳ごろ。小学校低学年の子どもの肌は皮膚のバリア機能がまだ低く、刺激にも弱いのです。

 「小学校に入ると、朝から晩まで外にいる子もいれば、ずっと室内で過ごす子もいる。乳幼児期のように生活行動が画一的でなくなってきて、生活習慣や行動パターンの幅が大きくなります。例えばスポーツ系の習い事ひとつとっても、ラクロスやアイスホッケーなど珍しい競技をしている子もいます。肌に対する負荷のかかり方が子どもによってものすごく多様になってくる。乳幼児のときのように『みんなだいたいこうだよね』と説明することが難しくなります」

 そんな小学校低学年で多く見られる肌トラブルは「感染症」。「肌は徐々に強くなってきてはいますが、それ以上に動きが活発化するので、皮膚に小さなキズができやすい。社会性が出てきて友達との交流が一気に増えるので、ウイルスなどに感染しやすくなります」と野崎さんは指摘します。

<次のページからの内容>
・イボ、ミズイボ、とびひの感染症トラブル
・任せきりにしていると思わぬ“落とし穴”
・予防に大事なのは「爪」
・アトピー性皮膚炎は二極化する時期
・自分でケアする習慣をスタート