4月から小学生になるお子さんがいるご家庭では、入学に向けての保護者会など、様々な準備が始まっている頃ではないでしょうか。年上のきょうだいがいるご家庭であれば、経験していることも多いので多少は心にゆとりがあるかもしれませんが、繊細だったりのんびりしていたり、子どもはそれぞれ性格も得意なことも異なるため、準備もそれぞれ変わってきそうです。

 そこで公立小学校で23年間教壇に立ち、たくさんの子どもたちの成長を見てきた教育評論家の親野智可等先生に、小学校入学まで約2カ月のこの時期だからこそしておきたいことを聞きました。

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子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

ポイントは親が3つの「しない」を守ること

 4月から小学生になるお子さんがいるご家庭では、そろそろ入学準備が気になる時期ではないでしょうか。

 持ち物の準備や学童保育の申し込みなど親が準備すべき実務的なこともさることながら、子ども自身が直面する新生活への準備が気になるところです。

 例えば「早寝早起きができるようにしなくては」「着替えが早くできるようにしなければ」「決まった時間にトイレに行けるようにしなければ」などの生活習慣面。「ひらがなが書けないと」「足し算、引き算はできたほうがいいのでは」などの学習面。「同じ小学校に知っている子がいないけれど友達はできるのか」「先生にきちんと意思を伝えられるのか」といった人間関係面。

 親が子どもに「できるようにさせておきたい」ことは色々ありますが、親野先生によると、子どもに何かできるようにさせることよりもまず、親が3つの「しない」を守ることが大切だといいます。

入学準備で最も大切な3つの「しない」ポイント

■ 入学を楽しみにできるように、学校は怖い所だというイメージを持たせない
■ 「●●しないと、1年生になれない」などと否定の言葉で、自己肯定感を壊さない
■ 叱られると「親に愛されていない」という気持ちになりやすく、他者不信感が強くなるため、繰り返し叱らない

 「否定的な表現は、1~3月は極力やめたほうがいいですね」と親野先生。

 「ひらがなが書けないと困るよ」とか「着替えがテキパキできないと体育で間に合わないよ」といった、「そんなことができないと1年生になれない」という言い方は、ふとした瞬間に口にしてしまいそうです。でもそれでは、学校は怖い所だなというイメージが子どもの中で出来上がってしまうのだといいます。

 「入学したときはテキパキ着替えられなくても、何かと他の子に遅れを取っていても、自己肯定感が高い子は、『やってみたい!』『できる!』という積極的な気持ちで取り組めるものです」

<次のページからの内容>

・叱られることで「どうせ僕(私)なんてダメだよ」と消極的に
・6年間を振り返り、できるようになったことを褒める
・「ほめ写」で写真を見ながら子どもが内面的対話ができるようにする
・できるようになってほしいことは、まず親がして見せる
・人生は思い込みで決まる! 褒めて良い思い込みを強くする