2017年の流行語大賞に「睡眠負債」がノミネートされるなど、睡眠に注目が集まっています。大人にとっても睡眠不足はよくないものですが、子どもの睡眠負債はさらに深刻です。「働き方改革が叫ばれている今こそ、子どもの睡眠時間確保のチャンス」と専門家は言います。睡眠科学の視点から、そのために心がけたいポイントについて教えてもらいました。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
(1)親が「姿勢」を変えれば都会の公園で自然体験は可能
(2)冬の公園の攻め方 パパは舞台俳優になるべし
(3)寝相が悪いほど「脳にはいい」ってホント?
(4)どうすれば“返済”できる?子どもの睡眠負債 ←今回はココ

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

子どもの睡眠確保を目的に働き方改革を

 共働き世帯にとって、「子どもの就寝時間」は切実な問題です。早く寝かせたいと思っていても、必死に仕事を終えて、お迎え、夕食、片付け、入浴、歯磨き、洗濯、スキンシップなど夜の家事・育児に追われて、現実的に難しいと感じるケースも多いかもしれません。

 「政府が主導して働き方改革を推進している現在は、子どもの睡眠時間確保の絶好のチャンスです」。そう話すのは、睡眠評価研究機構代表で医学博士の白川修一郎さん。睡眠科学・脳生理学が専門の白川さんは長年の間、「睡眠不足大国・日本」に警鐘を鳴らしてきました。

 「日本人が睡眠を軽視している理由の一つは、睡眠に関する教育がなされてこなかったから。11年前にやっと文部科学省が『早寝早起き朝ごはん』国民運動を始めたぐらいで、今、親になっている世代もきちんと教えてもらった記憶がないはずです」

 前回記事で見たように、睡眠は子どもの脳や心、身体の成長に欠かせないもの。「睡眠不足を放置することは、子どもの将来の芽を摘むこと」と白川さんは指摘します。

なかなか寝ない子を寝かしつけるためのポイント

 「睡眠不足が積み重なり、心身に悪影響を及ぼす『睡眠負債』という言葉が一躍有名になりました。休日に親子とも長く寝て“寝だめ”する人がいますが、平日にたまった睡眠負債を休日に返済することは、大人も子どももできません。平日の睡眠時間+約1~2時間程度なら影響は少ないですが、それ以上たくさん寝ると逆にリズムが崩れて、日曜日の夜に眠れなくなり月曜日から新たな睡眠負債を作ることになります。昔いわれたブルーマンデイです」

<次のページからの内容>
・「家族みんなでちゃんと晩ごはん」を目指さない
・寝ることが楽しくなる「就眠儀式」を
・照明器具を味方につけよう
・親子で睡眠日誌をつけてマネジメント
・一日の始まりは就寝時間から始まる