小さな子どもはあたかも実際に起こったことのように空想の世界の話をします。時にあまりに奇想天外な話に驚かされたり、その空想の豊かさに感心させられたりすることもありますが、こうした空想は子どもの成長にとってどのような意味を持つのでしょう? 長年保育現場に携わり、現在子育て番組でも活躍する、非営利団体コドモノミカタ代表理事の井桁容子さんに話を聞きました。

【年齢別記事 保育園のママ・パパ向け】
(1) 子の「自分が先」にこだわり、負けると怒る、どう対応?
(2) 幼児のドリル学習 ミス伝えると怒る子対策5つのコツ
(3) 空想する習慣が子の生きる力に 想像力の鍛え方 ←今回はココ
(4) 子どもの空想力を育む話の聞き方、絵本の読み聞かせ方

空想は人間らしい活動

 「きょうは園庭に隕石(いんせき)が落ちてたんだよ」「私、猫とお話しできるの」……。子どもたちは頭の中に思い描く出来事を、現実にあったかのように話すことがあります。

 「現実には起こらないことを頭に思い描き、空想を膨らませる力は人間にしかないものだといわれています。つまり、子どもが見たり感じたりしたことから思いを巡らせて、いろいろな事柄を空想することは、とても人間的な活動なのです」と話すのは、長年保育士として保育の実践と研究に従事してきた、コドモノミカタ代表理事の井桁容子さんです。

 「大人に比べて子どもは何にもとらわれない自由な発想を持っています。ただの木の枝が魔法のつえに見え、それを手にするだけで自分色に世界を塗り替えていくことができるのです。こうした空想は現実には起こり得ない夢物語ですが、成長過程で経験の裏付けを得ることで、空想の域を脱し、よりリアルかつ具体的にイメージを膨らませられるようになります。これが『想像力』です」

 AIが台頭するこれからの時代を生きていく子どもたちには、空想したり想像したりする習慣を特に大事にしてほしいと井桁さん。そうした習慣によって育まれる3つの力や、親ができるサポートについて聞きました。