おなかの赤ちゃんの健康や妊娠の維持には大きな影響はないものの、手足がしびれたり痛んだりする妊娠中のマイナートラブルは気になるもの。そこで、産前・産後の手足のトラブルの原因と対処法について、聖路加国際病院女性総合診療部医長の山中美智子さんに聞きました。むくみや手・腕のしびれ、痛みについて紹介した前編に続いて、後編では主に足などの下半身に起こるトラブルを見ていきましょう。

【年齢別特集 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1) むくみ、手のしびれ…妊娠中の手足のトラブルへの対処法
(2) 痛む、つる、血管が目立つ…足のつらさにどう対処? ←今回はココ
(3) 手早く安全に洗うには? 赤ちゃんの沐浴を徹底理解
(4) 沐浴の悩み解消 保湿は?子二人を一度にどう入れる
(5) 二人目不妊 育児や仕事と両立できる病院選びのコツ
(6) 不妊治療 かかるお金・もらえるお金と企業サポート

お尻から下に痛みが? 脚沿いに走る神経への圧迫かも

 妊娠中は、太ももから足先までが痛む、足がつりやすいなど下半身にもさまざまなマイナートラブルが起こります。

 まずは、お尻から太ももにかけて下半身の広範囲に痛みやしびれが起こるケースから見ていきましょう。

症例:お尻、太ももに痛みを感じる
・初期には、お尻に痛みを感じる。
・症状が進行すると、お尻から太もも、つま先へ向かって痛みが広がる。
・上記の部位にしびれを感じる。

 これは、お尻や太ももの裏側を通って足先に至る「坐骨神経」の周囲に起こる、坐骨神経痛かもしれません。

 山中さんによると、「妊娠中はおなかが大きくなるので、重心が後ろに傾き、背骨を反らすような姿勢になりがちです。また、大きくなった子宮によって、骨盤の形が変わり、神経が圧迫されることも坐骨神経痛につながると考えられています」といいます。

 さらに、ホルモンバランスの変化も関係しています。「妊娠中はお産に備えてリラキシンというホルモンの分泌が増えることで、骨盤の関節が緩みます。それを支えようと周囲の筋肉が緊張して、神経を刺激することも一因です」

 妊娠中の坐骨神経痛をやわらげるには、次ページのような対処法が挙げられます。