前回の記事(「2人目妊娠中 我慢させる上の子はふびん、ではない?」)では、2人目妊娠期間を「ぜいたくな家族の時間」にするために、ママやパパが意識したいことについて紹介しました。今回は、第2子以降を出産後の上のきょうだいをケアする方法にフォーカスします。関西外国語大学外国語学部教授の篠原郁子さんに、第2子以降を出産後、上の子が赤ちゃん返りをしたときの対応法や、子どもの気持ちを素早く察するために日ごろからできる習慣について聞きました。

【年齢別記事 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1) 2人目妊娠中 我慢させる上の子はふびん、ではない?
(2) 2人目出産後 赤ちゃん返りする上の子にどう対応? ←今回はココ

上の子は一生懸命に気を引こうとしている

 赤ちゃんが生まれた後、上の子がお漏らしするようになったり、指をしゃぶり始めたり、ハイハイするようになったりと、赤ちゃん返りをするケースを聞いたことはないでしょうか。

 親子関係などをテーマに研究している、関西外国語大学外国語学部教授の篠原郁子さんはこう話します。

 「下の子どもが生まれた後に、上の子どもが赤ちゃん返りをするのはよく見られることです。しかし、上の子は今までできていたことが急にできなくなったわけでもなく、赤ちゃんになりたいわけでもありません。今まで親の注意や関心が自分中心にあったのが、下の子が生まれたことで突然少なくなってしまったことにより、戸惑いを感じているのでしょう。

 そのため、親の関心を取り戻そうと試行錯誤しているのです。その具体的な方法の1つが、目の前でお母さんやお父さんの注意や関心をうまく引き付けることができている赤ちゃんの振る舞いをまねること。赤ちゃん返りをする以外にも、急に何も言わなくなったり、乱暴になったりと、それぞれのやり方で親の関心を自分に向けようと頑張っているんですよね」

 とはいえ、上の子にはお姉ちゃんやお兄ちゃんになってほしいと思うあまり、そんな赤ちゃん返りをする上の子をつい叱ってしまう人もいるかもしれません。「そもそも、赤ちゃん返りは、親にもっと話しかけてほしい、関わってほしいという子どもの思いの表れです。上の子を叱り、子どもの行動を否定して遠ざけてしまうことは、子どもにとっては、親との距離がさらに遠のいてしまったように感じられるかもしれません」と篠原さんは言います。

 親が注目すべきは上の子の「行動」ではなく、「気持ち」なのだと、篠原さんは言います。上の子の気持ちを受け止めてあげるために、親は日ごろから何を意識すればいいのでしょうか。次ページから詳しく紹介します。