妊娠中にしっかりした栄養を取ることが大事だと前回の記事で触れましたが、食事だけでは補えない、妊婦に必要な栄養素もあります。その一つが「葉酸」です。今回は葉酸の正しい選び方や飲んではいけないサプリについて、3人の専門家に解説してもらいます。

【年齢別特集 妊娠・職場復帰ママ・パパ向け】
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葉酸は赤ちゃんの先天的な病気の発症リスクを減らす

 特に妊娠初期に必要とされる栄養素は「葉酸」です。葉酸について、妊娠して初めて知ったという人も少なくないでしょう。なぜ妊婦に葉酸が必要なのか、産婦人科専門医の宋美玄(そん・みひょん)先生に解説してもらいました。

 「葉酸は赤ちゃんのDNAが複製され正常に細胞分裂する際に必要な物質で、二分脊椎など神経管閉鎖障害(神経管と呼ばれる部分がうまく形成されないことによって起こる神経の障害)の発生など、赤ちゃんの先天的な病気の発症リスクを減らすために重要な役割を果たします。健康な胎児の発育を助ける大切な栄養素です」

 葉酸はビタミンB群の一種で、小松菜、ほうれん草、モロヘイヤ、春菊などの葉物野菜やいちご、アボカド、ブロッコリー、枝豆、納豆、肉のレバーなどに多く含まれているといいます。

 では、実際に葉酸はどれくらい取ったらいいのでしょうか。

 帝京科学大学で教鞭をとる栄養学博士の上田玲子教授は、「妊娠していない成人女性の1日の摂取推奨量は240μg。妊娠すると、これに240μgの加算が必要になります。妊娠計画中と妊娠3カ月ごろまでの初期は、サプリなどでさらに1日400μgを追加することがすすめられています」と話します。

 次ページから、妊娠中に取り過ぎてはいけない栄養素についても解説していきます。

<次のページからの内容>
・葉酸は授乳中も摂取を
・葉酸の取り過ぎは貧血を見逃す恐れも
・妊婦が飲んではいけない「ビタミンA」
・栄養剤はカフェインに注意