来春復帰予定の育休中の皆さん、そろそろ復帰後のことが気になって、色々な不安があるのではないでしょうか。育休取得者が「復帰後は時短で働けるだろうか」「送り迎えに間に合うだろうか」と心配している一方で、上司も「仕事を任せられるだろうか」「どのように接すればよいのだろうか」と不安を感じています。そこで、この時期に行っておきたい職場との話し合いについて、育休後コンサルタント・山口理栄さんのお話を紹介します。後半では、上司とスムーズなコミュニケーションを取るヒントを、女性管理職育成コンサルタントで、交渉トレーナーの小早川優子さんに教えてもらいました。

【年齢別特集 妊娠・育休中ママ・パパ向け】
(1) 乳児の肌ケア 基本はもっちり泡と1日2回保湿
(2) 母乳っ子の鉄分不足、日光不足のくる病に気を付けて
(3) 復職前の面談 「使いづらい」と思われない交渉術 ←今回はココ
(4) 復帰後の条件、上手な伝え方をマスター

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

復帰前の面談は大切。仕事への意欲を伝えよう

 育休後コンサルタントの山口理栄さんは、復帰社員と上司の間には、溝があるといいます。

 上司は育休を取った社員に対しては、「子育てをしている間に別の価値観が芽生えたかもしれない。子どもという優先順位の高い存在を持ったことで、会社や自分に対しての忠誠心、愛社精神を少し失ってしまったかもしれない。もう信用して仕事は任せられないな……」と思い込んでしまいがちなのだそう。

 一方、復帰社員は、育児休業を1年間取ったうえに、復帰後も時短勤務にする予定の自分が会社からどのように評価されるのかという不安に駆られています。

 「復帰直前は、お互いが疑心暗鬼に陥る可能性の高いタイミングなのです」。山口さんによるとそこで大切なのが、復帰前に上司と復帰社員が面談を行うことだそう。「面談を制度として設けている会社は、復帰の1カ月前に行うところが多いようです。制度がなくても復帰社員から会社に申し込んで行う場合も多々あります」

 山口さんが主宰している「育休後の働き方を考えるためのリラックススペース・育休後カフェ」では、「育休を取ることができてよかった」「戻れる会社があってよかった」という声をよく耳にするそうです。

 「育休で会社を離れている間、社員は新しい出会いを経験しています。その中で、例えば非正規雇用だったために仕事を辞めなければならなかったママ友と会うこともあるでしょう。そういった経験を経て、むしろ愛社精神が高まっていることのほうが多いのです。それを育休中の社員から会社側に伝える機会はあまりありません。ですので、面談の際には、ぜひそのような気持ちを積極的に伝えるようにしてほしいのです。そういう気持ちで戻ってきてくれると分かれば、会社側も仕事を任せやすくなります。両者の溝を埋めるためにも、復帰前の面談はとても有意義です」

 交渉トレーナーの小早川優子さんも「復帰する意思があるのであれば、まずは復帰する前の面談で、仕事に対するモチベーションが高いことを明確に表明してください」と言います。

 復帰前の面談では、時短や仕事内容について話すことになります。上司から「使いづらい……」と思われて関係性がギクシャクしないためには、どのように交渉したらよいのでしょうか。次のページから小早川さんに詳しく聞いていきましょう。

<次のページからの内容>
・認めてもらいたい社員 使いづらいと感じる上司
・急に休むかも、仕事の引継ぎは大丈夫?と上司は不安に思っている
・上司は「安心」をしたがっている。承認できるのはその後
・セーフティーネットを築いておき、復帰前面談で説明しよう