10カ月に及ぶ妊娠期間を乗り越えた産後のママたちが気づくのが、すぐに妊娠前の体調に戻るわけではないということ。産後にはだるさや疲れ、気分の浮き沈みを感じるケースがあり、人によっては長引くこともあります。産前産後のケアに詳しい助産師の市川香織さんに話を聞きました。

【年齢別記事 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1) 産後のだるさ・疲れを軽減する過ごし方、6つのポイント ←今回はココ
(2) 妊娠で変化する肌と体重 ケア・管理のポイントは?
(3) 共働きにこそ重要 出産前後「お金の価値観」話し合おう
(4) 出産費用、ベビーグッズ…お金のメリハリどうつける?

産後は体を守ることが必要

 出産を終えたら、ベビーマッサージや、赤ちゃんとの散歩を楽しみたい。そんな生活を思い描いていたのに、産後思うように体が動かなかったり、いつまでも疲れやすく、前向きな気持ちになれなかったりするかもしれません。「いつになったら妊娠前の体調に戻れるのか」「産後のだるさや疲れはいつまで続くのか」と不安な気持ちを抱く人もいるでしょう。

 「10カ月かけて変化してきた体が元の状態に戻る時期は、人にもよりますが、産後6~9カ月が目安です。これは、半数強の女性が、授乳をしていても生理が戻るといわれている時期です」と話すのは、東京情報大学看護学部准教授で助産師の市川香織さん。

 「出産で傷ついた子宮は、産後6~8週で妊娠前の状態に戻るといわれています。けれども、妊娠で変化するのは子宮だけではありません。出産で相当な体力を消耗し、さらに、出産直後からの慢性的な睡眠不足、生活パターンの変化など、ママの体はストレスフルな環境に置かれています。また高齢出産の場合、ママの見た目は若々しくても、やはり体の回復には時間がかかります。出産は、産後まで含めた大仕事と考え、少なくとも産後半年以内は無理をするのは禁物です。

 また、最近の調査で新型コロナの影響による孤立や先行き不透明な状況への不安から、産後うつのリスクが増えていることも分かってきました。コロナで外出しにくい環境のなか、産後のママたちは特に孤立しやすく、心のバランスを崩しやすい状況にあります。ママたちは意識して周囲に助けを求め、精神的にも無理のない生活を心がけてください」

 次のページから、産後の疲れ・だるさを長引かせない過ごし方について、市川さんに聞いていきます。