朝夕の冷えが厳しくなり、吹く風に乾燥を感じる日が増えてきました。既にエアコンを入れている家庭も多いのでは? となると気になるのが、肌の乾燥です。もっちり、プルンとしている赤ちゃんの肌ですが実はとてもトラブルを起こしやすいのだそう。そこで、どんなケアをしてあげたらよいのか、ママ小児科医の江田明日香さんに乳幼児の肌ケアの基本を聞きました。通常の診療に加え、スキンケア外来で乳児湿疹やアトピー性皮膚炎のための診療も行っているほどスキンケアを重視する江田さんのアドバイスとは?

【年齢別特集 妊娠・育休中ママ・パパ向け】
(1) 乳児の肌ケア 基本はもっちり泡と1日2回保湿 ←今回はココ
(2) 母乳っ子の鉄分不足、日光不足のくる病に気を付けて
(3) 復職前の面談 「使いづらい」と思われない交渉術
(4) 復帰後の条件、上手な伝え方をマスター

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

乾燥シーズンに向けて、お肌ケアを見直そう

 皆さん、こんにちは。神奈川県藤沢市で小児科クリニックを開業している小児科医の江田明日香です。私たちのクリニックには、保育園に通う親子もたくさん来てくれるのですが、日に日に寒くなるこの時期は、ママたちから「お肌が乾燥してきました。保湿剤を変えたほうがいいですか?」というご相談が増えます。

 それは、保湿剤を「ローションからクリームに変える」ということなんです。

 当クリニックでは、スキンケアに力を入れているので、お母さんたちは色々と勉強してくださっていて、季節に応じてお肌のケアを変えることの大切さをご存じなんですね。簡単に言うと、同じ銘柄の保湿剤でもローション・クリーム・軟膏と色々なタイプがありますが、それぞれ保湿力が異なります。ですから、これからどんどん寒くなり、乾燥も進んでいく季節には、ローションよりもクリームや軟膏タイプを、逆に夏には、つけ心地がさっぱりしているローションタイプをお勧めすることが多いです。

 夏にも?と思われたでしょうか。そう、肌の保湿ケアは一年間を通して必要なケアです。だって、ママたちも、一年中化粧水やボディーローションをつけますよね。赤ちゃんだって同じ。いえ、大人以上に、スキンケアが大切です。

 そして、特にこれから迎える冬は、エアコンや乾燥した外気のせいで、大人でもお肌がカサカサしてしまう季節です。赤ちゃんにとっては、お洋服での調節が難しい季節。室温と外気の温度差で汗をかいてしまうこともあるでしょう。そこで今回はこれからの季節にありがちなお肌トラブルの予防につながるスキンケアの方法をお話します。

赤ちゃんの肌がデリケートな理由

 肌は本来、身体を覆って水分喪失を防ぐ機能や、異物が入ってこないように守る「バリア機能」、紫外線から守る機能など、様々な役割を持っています。これは赤ちゃんも同じです。しかし、赤ちゃんの肌は大人と比べて半分ほどの厚さで、さらに皮脂量が少なく、水分をのキープ力も低いことが分かっています。大人よりも汗腺が密にあるので汗をかきやすく、また感染症にもかかりやすいという特徴があります。つまり赤ちゃんの肌は一年中乾燥しやすい状態で、肌トラブルを起こしやすい状態にあるというわけです。

 皮膚は乾燥すると角質細胞が整わず、細胞と細胞の隙間からアレルゲンや細菌などが入り込みやすくなります。こうなると、お肌が本来持っている「バリア機能」が低下してしまいます。さらに、乾燥などがきっかけになって肌に炎症が起きると「湿疹」になり、かゆみが出るなどのトラブルが起きてしまいますし、感染症にかかることもあります。

 こうしたトラブルを予防するためにも、3歳くらいまでのスキンケアはとても大切です。スキンケアの2本柱は「泡で洗う」と「しっかり保湿」です。では洗い方から説明していきましょう。ポイントになるのはCMみたいなもっちり泡です。

<次のページからの内容>
・赤ちゃんは泡だけで洗う。ガーゼはNG
・CMみたいなもっちり泡の作り方
・5分以内に保湿をスタート。その理由は?
・ティッシュが張り付くくらいたっぷりつけよう
・湿疹が出たら受診。薬は医師の指示を守って使おう
・親が「まずい」と思ったときは速やかに受診を