産休・育休中にどれだけ物を減らせるか、片付けられるかによって、その後の生活の大変さが大きく変わってくる――そう聞いたら、ドキッとする人は多いかもしれません。一念発起して、物を減らした達人たち、すっきり片付けて暮らしている達人たちは、どのようなきっかけで目覚め、また、どんな効果を実感しているのでしょうか。2回に分けてミニマムな暮らしを実現するためのこつなどを紹介します。

【年齢別特集 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1) 赤ちゃんは逃げられない 地震に備えた部屋づくりを
(2) 防災ママが伝授 自宅を「死なせない部屋」にする
(3) 物を減らしたら育児ストレスが減った 復帰前が肝心←今回はココ
(4) 家事が楽になる片付け達人の工夫 収納は増やさない
(5) 体⼩さい、ハイハイしない、笑わない…成⻑の⼼配事
(6) 言葉が遅い、他の子と遊ばない 集団生活は大丈夫?

ここが聞きたい!スタート編  Q「ミニマムな暮らし」に目覚めたきっかけは?  Q産休・育休中にスタートするメリットは? Q物が増えやすい出産・育児期、どうしたらいい? Q上手にパートナーを巻き込む方法は?

育児期に物が多いと、ストレスは増える

 まず、達人たちは、どんなきっかけで目覚めたのでしょうか。

Q 目覚めたきっかけは?

 「最大のきっかけは、やっぱり子どもが生まれたことでした。長男が動き始めると、部屋のあちこちに置いていた私の『大切なもの』を引っ張り出すようになって、その片付けに相当の時間がかかったんです。死角もたくさんある家だったので、誤飲などの危険にいつも気を張っていたというか、とにかく精神的なストレスがすごかったんです」

 そう話すのは、「ミドリノ」というブログで“子育てを楽にするミニマムな暮らし”を発信しているミニマリストの松下美香さん。松下さんは、1人目の育児で大量の物に囲まれて暮らすことに疲れ、一念発起してミニマリストになったと言います。

 こんな「事故」がきっかけで目覚めたというのは、整理収納アドバイザーの大村信夫さん。

 「私も妻も片付けが得意ではなく、散らかっているのは仕方がないことだと諦めていたんです。子ども部屋なんて足の踏み場もない状態。そうなると朝は大混乱です。学校のプリントがない、昨日やった宿題がない、はいていく靴下がない……。それが毎日のように繰り返されるので、家族みんなが朝から険悪なムードになりました」

 さらにある日、リビングの床に置いてあった書道セットのバッグに妻が足をひっかけて指を骨折。1カ月間松葉づえの生活を余儀なくされました。「片付けができていないと、ここまで生活に支障を来すのか……」。そんな驚きが、片付けに本格的に取り組むきっかけになったといいます。共働きで3人の子どもを育てる大村さんは、今や「片付けパパ」として、大手電機メーカーに勤務する傍ら、情報発信や講演活動などを行っています。

ポイント
・育児期に物が多いと、ストレスは増える
・物が見つからないと家族みんなが険悪なムードに

 では、実際にどんなメリットがあったのでしょうか。

松下家のリビング。物が最小限に抑えられているので広々としている
松下家のリビング。物が最小限に抑えられているので広々としている