子どもが生まれると、自宅で過ごす時間は増えます。巨大な地震がいつ起きてもおかしくない地震大国・日本ですが、赤ちゃんは自力で逃げることができません。赤ちゃんを寝かせられる「安全スペース」はありますか? 1歳と4歳の子どもを育てながら「防災ママ」として活動する永吉美さとさんに2回に分けて、教えてもらいます。まず、新しい命を守るために、防災を考えた部屋づくりが欠かせない理由と基本的な考え方について聞きました。

【年齢別特集 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1) 赤ちゃんは逃げられない 地震に備えた部屋づくりを ←今回はココ
(2) 防災ママが伝授 自宅を「死なせない部屋」にする
(3) 物を減らしたら育児ストレスが減った 復帰前が肝心
(4) 家事が楽になる片付け達人の工夫 収納は増やさない
(5) 体⼩さい、ハイハイしない、笑わない…成⻑の⼼配事
(6) 言葉が遅い、他の子と遊ばない 集団生活は大丈夫?

まず生き延びる! 備蓄を活用できるのはそれから

 「『防災といえば備蓄』というイメージを持っている人は多いかもしれません。もちろん備蓄はとても大事ですが、生き残ってこそ備蓄は役立ちます。まず大切なのは、地震発生直後に家族や自分を死なせないこと。そのためには、死なない部屋づくりが必要だと思っています」

 そう話すのは、防災教育「防育」の普及に取り組む防育コンサルタントの永吉美さとさん。本業は製薬会社の研究員で、1歳と4歳の2児のママでもあります。

 「東日本大震災をきっかけに防災について興味を持ち、さまざまな知識を得ましたが、その後、妊娠と出産を経験し、それまで学んだ内容が役に立たないことを実感しました。例えば消火器の使い方を知っていてもおなかが大きい妊婦は、消火器を持って消す立場になるのは難しい。また、当時、妊婦向けや赤ちゃん連れ可の防災講座も身近にありませんでした」

 「それなら自分が伝える側になろう」と、一念発起した永吉さん。「産育休を活用して、自分が知りたい防災関連の情報を調べて体系的にまとめ、防災講座などで皆さんに伝える活動を始めました」。職場復帰した現在は、週末などの休日を活用し、防災講座などの講師を務めています。

赤ちゃんをどこに寝かせるか決められますか

 出産準備の過程で決めなくてはいけないことの1つが「赤ちゃんをどこに寝かせるのか」。「夜間はどこに寝かせるのか、昼寝はどこでさせるのか、などを考えると思います。赤ちゃんは地震があっても自分では逃げられませんから、地震を想定して、『安全スペース』に寝かせなくてはいけません

 つまり、赤ちゃんを迎える前に、自宅の安全スペースを知っておくことはとても重要なことなのです。

 では、安全スペースはどうやって見つければいいのでしょうか。

赤ちゃんを迎える前に、自宅の安全スペースを知っておくことはとても重要
赤ちゃんを迎える前に、自宅の安全スペースを知っておくことはとても重要