いざ、初めての離乳食が始まると、忙しい共働き家庭はお悩みがいっぱい。一般社団法人母子栄養協会代表理事で、離乳食アドバイザーの川口由美子さんによると、「共働き家庭のママ(&パパ)から寄せられる離乳食の悩み」として、特に多い“三大お悩み”が、「情報が錯綜しており、離乳食をいつ始めたらよいのか分からない」「赤ちゃんが全然食べてくれず、離乳食が進まなくて困る」「離乳食をゆっくり食べさせる時間も、作る時間もない」の3つだそう。その三大お悩みに対する8つの処方箋を、川口さんに伺いました。

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(3) 共働き家庭の離乳食 「三大悩み」を解消! ←今回はココ
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 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

「始め時」が分からなくなってしまっている人が少なくない

 トラブルの予知・回避能力が高く、情報収集も得意な共働きのママやパパ。離乳食に関しても、ネットなどで様々な情報を収集する人が多く、情報が豊富だから故に「始め時」が分からなくなってしまっている人が、実は少なくないそうです。

 特に多くの人が惑わされがちなのが、「離乳食を始めるのが早過ぎると、食物アレルギーの原因になりやすい」という情報。「以前、あるタレントさんが『アレルギーが心配なので1歳まで離乳食はあげません』と発信して話題になったこともありましたね。

●離乳食の三大お悩み その1

「早く始め過ぎるとアレルギーの原因になると聞いた。いつから始めるのが正解なの?」

処方箋1
ネットの古い情報に惑わされない。
教科書通り、5~6カ月から始めたい

 実は、離乳食を始める時期とアレルギー発症の関連については、年々研究が進んでいます。以前は確かに、遅いほうがいいと言われていた時期もありましたが、子どもの食物アレルギーの中でも最も頻度が高い鶏卵アレルギーと、卵の摂取時期の関係を調べた国立成育医療研究センターの最新の研究によると、生後6カ月から加熱した卵(固ゆで卵)を少しずつ食べさせた乳児のほうが、そうでない乳児と比べて1歳時点での鶏卵アレルギーの発症率が明らかに低いという結果が出ています。

 多くの育児書でも保健所の保健指導でも、『始めるのに適した時期は、生後5~6カ月』とされています。ぜひ基本を守っていただきたいですね」と川口さんは言います。

処方箋2
予定を立てず、赤ちゃんもママ(&パパ)も調子がいいときに始める

 では、「生後5~6カ月」の中の、いつから離乳食を開始すべきなのか。川口さんは、「この日に始める、と予定を決めてしまうのでなく、赤ちゃんもママ(&パパ)も調子がいいときがベストタイミング」と話します。

 「5カ月目に入ったら、おかゆを炊いてみたり、離乳食セットを買ってみたりして何となく準備しておき、赤ちゃんもママやパパも元気なときで、赤ちゃんが食べたそうにしているように感じたら、ちょっとあげてみる。ただ、スプーンを舌で押し出してしまったら、『まだちょっと早かった』ということ。無理やり食べさせたり、翌日、翌々日とまた頑張るのでなく、一度やめて1週間後くらいに再開すればOKです。

 赤ちゃんの具合が悪かったり、準備ができていなかったりするなら、開始時期が6カ月の終わりになってしまったとしても別にいい。そのくらいの気持ちの余裕をもって取り組むほうがうまくいくと思います」(川口さん)。

災害への備えにもなる

 日本は災害が多い国。1歳になってからではなく、適切なタイミングで離乳食を始めておくことは、災害対策の面でも大事と言えます

 「万一、被災し、避難所などに避難することになった場合、お母さんはストレスで母乳が止まってしまうこともあり得ます。その場合、頼りになるのは粉ミルクですが、被災地だと、お湯を沸かしたり、哺乳瓶をきれいに洗ったりできない可能性もあります。液体ミルクなども登場してはいますが、まだまだ普及していません。お米の重湯などなら、災害時でも手に入りやすいので、ミルク以外のものに慣らせておくことは大切です。スプーンを嫌がらないようにしておくことも重要ですね」(川口さん)。

<次のページからの内容>
・離乳食を全然食べない赤ちゃんへの「3つの対処法」
・ベビーフードはヒントの宝庫。特に学ぶべきポイントは?
・復職済みで、作る時間もゆっくり食べさせる時間もない場合はどうする?
・パパを「おかゆ係」に任命すべき理由
日経DUALのムック
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