赤ちゃんとお母さんに安全を担保する帝王切開。特に予定帝王切開だと「陣痛の痛みを経験せずに産めるからラク」などと誤解しがちですが、経腟分娩に比べると母体への負担は大きくなります。今回の記事では帝王切開のリスクや、術後の回復の流れ、次の妊娠への影響をご紹介します。年間の分娩件数が1804件(2018年度実績)に上る葛飾赤十字産院で、帝王切開に幅広い経験を持つ副院長の鈴木俊治さんに解説してもらいます。

【年齢別特集 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1) 実は4分の1が帝王切開 緊急時に慌てない基礎知識
(2) 帝王切開のリスクと注意点 術後の回復は大変なの?←今回はココ
(3) 育児疲れの秋バテを湯たんぽとすりこぎで解消しよう
(4) 赤ちゃんにインフルエンザワクチン どうする?
(5) 秋冬に増える赤ちゃんの胃腸炎 感染予防と家庭ケア
(6) 妊娠中のスポーツ どこまでやっても大丈夫?
(7) 妊娠中の仕事の負荷 法律で保護される範囲は?

入院期間の目安は7~8日。術中・術後のリスクを知っておこう

 帝王切開の手術から1~2日は、傷の痛みと子宮の収縮の痛みが重なります。お母さんが快適に過ごせるよう、鎮痛薬で痛みを抑えるのが一般的です。手術前に硬膜外麻酔のカテーテルを挿入している場合は、ここから鎮痛薬を投与して疼痛(とうつう)をコントロールします。入院期間は一般に、経腟分娩より長くなります。目安は経腟分娩だと4~5日ですが、帝王切開では7~8日です。

 帝王切開は比較的安全な手術ですが、リスクもあります(下の図)。代表的なものを次ページ以降で説明していきます。

帝王切開になった際にも落ち着いて対処できるよう、リスクや注意点を把握しておきましょう
帝王切開になった際にも落ち着いて対処できるよう、リスクや注意点を把握しておきましょう