新型コロナの影響で、立ち合い出産や産後の面会ができない病院もあり、お産を控えたママやパパの不安は大きいでしょう。本来なら出産や育児のことを事前に学べる自治体や病院の両親学校が閉鎖されたところもあります。出産前後にパパができることは何でしょうか。子育て支援事業を手掛ける「みのおママの学校」の助産師、谷口陽子さんに、産前産後の期間でのパパの心得を聞きました。

【年齢別特集 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1) 産休前の仕事引き継ぎ コロナ禍で意識すべきこと
(2) メモ活用で妊娠後期の体調を把握 産育休準備も
(3) つわりの妻支える夫の声掛け 不安やストレス和らげる
(4) 出産前後、パパの心得 これだけは押さえておきたい ←今回はココ

パパの心得(1)
出産が近づいている 3つのサインを見逃さない

 妊婦健診に同伴したくても、新型コロナの感染対策で病院に同行できなかったというパパもいるでしょう。出産にあたって「陣痛が始まってから出産まで、どのくらいの時間がかかるのか」「どのような過程をたどるのか」「自分は出産のとき、病院に行けないなら何をすればいいのか」と不安に感じているかもしれません。

 出産が近づくと、ママの体にサインが表れます。「37週を過ぎた妊娠後期の妊婦さんでは、おしるし・破水・陣痛の3つが『もうじき生まれる』というサインになります。突然サインがあって慌てるのではなく、どういうものかを知っておくことで心の準備になるでしょう」(谷口さん)

お産までの「3つのサイン」

・おしるし
赤ちゃんはママの体の中にある膜(卵膜)に包まれています。膜がくっついているのが子宮です。出産が近づくと、膜が子宮からはがれ、その過程で出血します。このときの血などを「おしるし」と呼びます。ママから「おしるしが来た」と言われたら、数時間から数日以内に出産になることが多いです。

・陣痛
ママのおなかに規則的に痛みがやってくるのが陣痛です。「内からおなかが破られる感覚」「ひどい生理痛」など人によって感じ方はさまざま。前駆陣痛といって陣痛の前段階では、おなかが張っているような感覚や生理痛のような痛みを不規則に感じるママが多いです。

痛みが定期的に10分間隔で繰り返されるようになると、「陣痛が始まった」といいます。「初産の場合、陣痛から12~16時間程度で出産に至ります」(谷口さん)。ただ、個人差が大きく、あくまでこれは目安です。

・破水
赤ちゃんが包まれる卵膜は羊水と呼ばれる水で満たされています。赤ちゃんを包む膜が破れ、羊水が外に漏れることを「破水」と呼びます。通常は陣痛が始まった後に破水しますが、陣痛の前に破水が来る場合もあります。

 出産のサインの表れ方や出産までの過程は、人によって違います。おしるしがなく、いきなり陣痛が始まることもあれば、破水後しばらくしてから陣痛が来る人もいます。「いずれかのサインが見られたら、病院に連絡をしてママと病院へ行き、付き添いができない場合、出産後までパパは自宅で待機。産後はママと赤ちゃんだけで5日前後を病院で過ごすことになります。その後、パパは退院した2人を迎え入れて、新しい生活が始まります」

 そのような中で、パパがしておきたい心構えや見落としがちな点とは何でしょうか。次ページ以降で解説します。