社会現象にもなった、共働き家庭でママ一人が家事や育児を一手に担ってしまう、ワンオペ育児や“孤育て”。真面目なママほどハマってしまいがちですが、一人で抱え込むことは、ママ本人はもちろんのこと、子どもにも周囲にとってもよくありません。

 パートナーや祖父母、ママ友やパパ友などとの協働関係を築き、その他必要に応じてアウトソーシングや家電などによる自動化を進めていくことで、わが家だけのチーム育児体制を築いてほしい。日本全国で年間3000人以上のパパ&ママ、プレパパ&プレママに、子育てと仕事の両立についてセミナーや講演を開いている林田香織さんはそう訴えます。林田さんに「チームわが家(チーム育児)」構築の必要性とコツについて伺うとともに、記事後半では、『育児は仕事の役に立つ』(光文社新書)の著者、浜屋祐子さんとの対談を一部抜粋。「両立の体制づくりは仕事に必要な能力の向上にも役立つ」ということもご紹介します。

【年齢別特集 妊娠・育休ママ・パパ向け】
(1) 「立ち会い出産」することで夫婦一緒に育児が始まる
(2) 第二子は妊娠時からパパが上の子の面倒を見て
(3) 「チーム育児」で家庭も仕事もうまくいく ←今回はココ
(4) 夫、祖父母、ママ友パパ友を育児に巻き込もう

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

「完全ワンオペ体制」で始まった、林田さんの共働き育児

林田香織さん
林田香織さん

 ママによる「ワンオペレーション育児」は、日経DUALでもたびたび取り上げており、社会問題化しています。ワンオペからの脱却として私が提案したいこと、それが「チームわが家」です。具体的には、様々なリソースと連携したマルチオペレーション型のチーム育児へシフトしよう! ということです。

 夫婦のどちらかが我慢したり、夫婦で押し付けあったりするのではなく、手を抜いたり、やり方を工夫したり、家電やテクノロジーを導入したり、民間サービスや行政のサービスを利用したり、じいじ、ばあばやパパ友&ママ友に頼ったりしながら、パパもママも、そして子どもたちも協力して「チーム」でいこう! というのがコンセプト。

 「まあ、言いたいことは分からなくもない」「でも、頼るってハードル高い」「結局自分でやったほうが早い」「他人を家に入れるのはちょっと…」「アウトソーシングするとすごくお金がかかるんじゃない?」「子どもは大丈夫?」「何となく罪悪感がある…」

 両立セミナーでマルオペ育児の話をすると、このような不安の声が受講者の中から聞かれます。その一方で、「うちは既にやっているよ!」という声が思いの外多いのも事実です。

 そこで自己紹介がてら、私の半生をご紹介しましょう。大学院卒業後、高校の同級生の夫と結婚した私は、長男出産後に勤めていた学校法人を辞めました。その後、夫の転勤や留学で日本とアメリカを数年ごとに行ったり来たりしながら子育てをし、三男出産後にフリーランスのセミナー講師として社会復帰しました。

 3人の子どもを育てながらの仕事と家庭の両立は至難の業です。私の社会復帰から約10年。DUAL読者の皆さんと同じように綱渡りのような日々を送ってきました。

 復帰当時、私たち夫婦はまだ30代半ばでした。夫は仕事も大変な時期で、子育て面では頼りにできず、お互いの実家も遠方で、八方塞がり。専業主婦時代に確立された揺るぎない役割分業体制はしっかりキープされ、家事も育児も「完全ワンオペ体制」でのスタートでした。

<次のページからの内容>
● 夫婦の暗黒時代をどう乗り越えたか? 家事を丸ごと夫に渡していった
● 「誰かの役に立つ」経験は子どもの自尊感情を育む
● チーム育児はリーダーシップを向上させる
● チームづくりのタイミングは、早ければ早いほどいい
● 自分の基準や水準を相手にも求めない