これまでイキイキと仕事をしてきたのに、母親になったとたん、働くことに「後ろめたさ」を感じてしまったということはありませんか? 何となく世間に対する後ろめたさや、時短勤務、子どもの病気による急な欠勤などで迷惑をかけているのではないかという職場への後ろめたさ。そんなさまざまな気持ちを抱えるママたちが、前向きな気持ちで両立ライフを送るための気持ちの持ち方について、前回に引き続き発達心理学者の大日向雅美さんに聞きました。

【年齢別特集 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1) 「良い母親」になるため妊娠中にできる3つの準備
(2) ワーママが抱える「後ろめたさ」の正体とは? ←今回はココ
(3) 夜泣き外来医師 子の「自分で寝る力」育てる方法
(4) 夜泣き外来医師 夜泣きが続くと脳の働きに影響が

働くことで感じる2つの「後ろめたさ」

 ここ数年で働くママを取り巻く状況は大きく変わり、ママになっても働き続けることは普通のことになってきています。けれどもそうした状況にあっても、ママたち自身は働き続けることに対し、「後ろめたさ」を持った経験があるという人は少なくありません。

 ママたちが感じる「後ろめたさ」とは、1つには職場に対するもの、もう1つには子どもに対するものがあるようです。

 特に後者については悩みも深く、世の中にあふれる「小さいうちから保育園に預けるなんてかわいそう」とか「3歳までは自宅でママが育てるのがよいに決まっている」といった言葉に、不安になってしまうこともあるでしょう。

 こうした状況に対し、「前回の記事でも人目を気にするほど、自分が『良い母親』かどうか不安になってしまう、という話をしましたが、ママたちがとらわれる『人目』とは、子育て神話と呼ばれるものです。私は1970年代から3歳児神話を中心に据えた母性神話の研究を続けていますが、今でもこの3歳児神話にとらわれているママはとても多くいます」と恵泉女学園大学学長で、発達心理学者の大日向雅美さんは話します。

 3歳児神話とは、「子どもが3歳になるまでは大事な時期だから、母親が育児に専念すべき」という子育てについての考え方を指すものですが、これに対し大日向さんは「これには真実の部分と、そうではない部分があります」と言います。次のページから多くのママを苦しめる「3歳児神話」の正体について紐解いていきます。