仕事に復帰して分刻みの生活をこなしながらも、「自分一人の癒やしの時間」「整理整頓されたきれいな部屋」「子育てを楽しむ心の余裕」を保っていられるのは理想です。「ミドリノ」というブログで“子育てを楽にするミニマムな暮らし”を発信しているミニマリストの松下美香さんは、こうした生活は、“物を減らす”ことで実現しやすくなると言います。産休・育休中にどれだけ物を減らせるかによって、その後の大変さは大きく変わってくるのです。

 松下さんには、1人目の育児で大量の物に囲まれて暮らすことに疲れ、一念発起してミニマリストになった経緯があります。あらゆる物を手放していく中で気づいたのは、「これまでは物に囲まれ過ぎていたために、大切な“時間”や“心の余裕”が持てなかったのだ」ということ。今回は、4歳と1歳のお子さんの子育てに奮闘する松下さんのお宅にお邪魔して、「産休・育休中のママの仕事復帰を楽にする“ミニマムな暮らし”のコツ」を教えてもらいました!

【年齢別特集 妊娠・育休中ママ・パパ向け】
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(3) 育休復帰が格段に楽に!目から鱗のミニマムな暮らし ←今回はココ
(4) 育児中こそミニマムに 家族の物を“減らす”コツ

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

「無駄な物を捨てる」と大切なことが際立ってくる

 ミニマリストとは、余計な物を一切持たず、必要最低限度の持ち物だけを身の回りに置いて生活する人のことです。そう言われると、独身男性がたった数枚ほどの服を着まわし、何もない部屋で暮らしているといったイメージが浮かぶかもしれませんが、普通に考えると、小さな子どもを抱えながらできる生活ではありません。

 しかし、松下さんが提唱するのは、そうしたストイックなミニマリストとは一線を画した新たなスタイル。そもそも、「ミニマリストの本質は、『物を減らす』ことではない」ときっぱり語るのです。

ミニマリストの松下美香さん
ミニマリストの松下美香さん

 「『物を減らす』ことの本質は、『本当に大切なものにきちんとフォーカスできる環境を作る』ことです。忙しいお母さんたちにとって一番大切なのは、“心の余裕”ですよね。『物を減らすこと』は、そこにフォーカスするための手段なんです」

 「私は“心の余裕”を持つには、ある程度の時間とお金が必要だと思っていて、それには物を減らすことが一番だと考えています。物が少なくなると“空間”が生まれる分、片付けに追われず“時間”にゆとりが生まれます。無駄な物も買わなくなるので、その分の“お金”も浮きますよね。結果として、“心の余裕”を保てるようになるんです」

 しかし、ただでさえ出産祝いや子どもの物で溢れかえるこの時期。一体どうすれば、物を減らして“心の余裕”を手に入れられるのでしょうか?

 「産休・育休中という比較的時間があるこの時期に、ママ自身の物を断捨離してみてはどうでしょうか? 『いつかまたやるから』と取っておいたママの趣味なども、子どもが生まれると実際にはできる時間がほとんどありません。これを期に思い切っていくつかに絞ってみてもいいと思います」

 とはいえ、捨てる・捨てないの判断はなかなか難しく、物を処分するのにも勇気が必要です。そこで、松下さんがこれまで何を残し、どんなふうに物を処分してきたのかを実際のお宅で見せてもらうことにしました。

<次のページからの内容>
● 断捨離は「産前の趣味」から始める!
● 「物の多さ」と「精神的なストレス」は比例する
● 1日の流れを決めて、考えずに家事を回す仕組みを作る