子どもが生まれると、家庭内の家事の総量は一気に増えます。できれば、家事や育児を家族でシェアしやすい仕組みを出産前からつくっておきたいもの。部屋の模様替えによる仕組みづくりを提案している「子育て家庭のモヨウ替えコンサルタント」の三木智有さんに、2回にわたって家事シェアしやすい部屋作りの考え方について教えてもらいます。前編の今回は第1子出産時について、後編は第2子出産時について聞きました。

【年齢別記事 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1) 出産で激増する家事 シェアしやすい部屋作りのコツ ←今回はココ
(2) 2人目出産の模様替え 管理者視点で上の子の自立促す

子どもが生まれると家事は増える?

 「子どもが誕生すると、それ以前とは比較にならないくらい家事の総量が増えます」。日本で唯一の「家事シェア」研究家として、家族の家事シェアを当たり前にする活動を行ってきたNPO法人tadaima!代表理事の三木智有さんは言います。

 「家事と育児は別のものとして語られがちですが、家事も育児もつながっている部分が大きく、基本的に分けて考える必要はありません。子どもが生まれると、それまでやっていた家事に加えて、子どものオムツ換えなど直接的なお世話の育児がまず増えて、さらに育児に関わる家事がまるっと乗っかってきます

 時間的な制約も負荷になる、と三木さん。「単純に総量が増えるだけでなく、赤ちゃんを抱えたまま家事ができなかったり、誰かに預けても送迎の時間があったり、時間的な縛りが増えて、それまでのように自分の思うように時間を使えません。時間的な縛りが強まることが、さらに、家事が大変になる理由だと考えられます」

 三木さんは、インテリアコーディネーターの経歴があり、「子育て家庭のモヨウ替えコンサルタント」として「家事シェアしやすい部屋作り」を提唱しています。

 出産が近づくと、多くの人は「赤ちゃんを迎える部屋作り」の準備をするでしょう。そのときに「家事シェア」の視点を意識しておけば、その後、家族が暮らしやすくなる、と三木さんは指摘します。「育児期は特に、家族や外の人を巻き込んで、協力し合うことが欠かせません。インスタ映えするすてきな部屋にしたいという希望があってももちろんいいのですが、優先順位を間違えると、例えばその部屋を作った人以外の誰も手が出せない、となってしまう恐れがあります」

 部屋作りに「家事シェア」の視点を取り入れることのメリット、初めての出産の場合に備えた「家事シェアしやすい」部屋作りの5つのポイントなどを次ページから具体的に聞きました。

出産前に「家事シェア」を切り口に模様替えする3つのメリット (1)具体的な話し合い</b>を夫婦でしやすい (2)ベビーシッターや父母など第三者の手を借りやすい (3)育児・家事がスムーズに進む