厚生労働省の人口動態調査に基づく消費者庁の分析調査によると、2010年から14年の間に不慮の事故で亡くなった14歳以下の子どものうち、0~1歳の赤ちゃんが約35%を占め、特に0歳については約25%と突出して多くなっています。原因としては就寝時の窒息や誤嚥、交通事故が目立ちます。日々生活する中で、大切な命をどう守るのか。国立研究開発法人 産業技術総合研究所人工知能研究センターで「子どもの傷害予防」を研究し、1歳と6歳の子どものママでもある大野美喜子さんに、室内の事故を防ぐために注意すべき点を解説してもらいます。

【年齢別特集 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1) 妊娠中は熱中症になりやすい コロナの夏の注意点
(2) 妊娠中の夏は水分と食事に注意 ぼうこう炎予防も
(3) 乳児の2大室内事故は窒息と溺水 防ぐためには  ←今回はココ
(4) 0~1歳交通事故で注意すべきは 親の意識変えよう

 消費者庁によると、0歳の子どもで事故による死因の約75%と最も多いのが窒息です。就寝時の窒息に加え、胃の内容物や食べ物が誤って喉頭や気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)による窒息などが含まれます。また、1歳では浴槽内での溺水が23.1%と、屋外での交通事故に次いで高い割合を占めます。

 産業技術総合研究所人工知能研究センターの大野美喜子さんは、「窒息や溺水という事故は、数分という短い時間で重篤な状態になります。家庭で子どもがそうした状態にならないようにいかに予防をしていくかが重要です」と指摘します。

 消費者庁のデータでは、0~1歳の子どもの事故は住居で最も多く発生し、0歳では事故発生場所の56.0%が、1歳では45.3%が住居です。

 「事故はどこの家庭でも起きる可能性がある、そう思って予防策を積極的に講じていく必要があります」

就寝時の安全な環境作りで気を付けること

■就寝時の窒息

 0歳の事故による死因で最も多いのが、就寝時の窒息です。「対策として、就寝時の安全な環境を作ることが原則です

(1)子どもが寝る敷寝具(敷布団、もしくはマットレス)を固いものにする
(2)子どもの寝る近くにもの(後述)を置かない

の2点を徹底してほしいと大野さんは話します。